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今年から取り入れたリランキング制度はLPGAの狙い通り、ツアーのレベルを上げていた【記者の目】

今年から取り入れたリランキング制度はLPGAの狙い通り、ツアーのレベルを上げていた【記者の目】

配信日時:2018年9月24日 15時36分

第2回リランキングで順位を上げてきた原英莉花
第2回リランキングで順位を上げてきた原英莉花 (撮影:鈴木祥)
先週の「ミヤギテレビ杯ダンロップ女子オープンゴルフトーナメント」を終了した時点で、第2回リランキングが行われた。昨年の賞金ランキング51位から55位までの選手とファイナルQT上位者が対象だが、これにより、10月5日開幕の「スタンレーレディスゴルフトーナメント」から11月の「大王製紙エリエールレディスオープン」まで7試合の出場優先順位が決まったわけだ(ただし、「TOTOジャパンクラシック」は今年の賞金ランキング35位の選手まで)。

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今季から取り入れられたリランキング制度の主な目的は2つある。一つが賞金ランキング上位50人に与えられるシード権との差別化だ。3月から11月まで8カ月間を戦って獲得できるシード権と、4段階に分かれているとはいえ、最大13ラウンドしかプレーせずに得られる出場権が対等では不公平だという声が少なくなかった。そして、もう一つがツアーレベルの向上だ。これまでのように無条件で1年間の出場権が与えられるよりも、そのシーズンに稼いだ賞金額によって出場順位をリセットするほうが、1試合にかける意気込みも変わってくるため、自然と選手のレベルが上がってくるだろうという狙いだ。

そこで、29試合を終えた時点で今季のツアーを振り返ってみた。すると、昨年よりも優勝スコアが上がった試合が16試合あり、予選カットラインが上がった試合が17試合あった。もちろん、開催コースが変わっているトーナメントもあれば、同じコースでも天候によってコンディションが異なる場合もある。中には消化したホール数が異なる試合もある。あくまでも一つの目安としてとらえることを前提とする。その数字を見る限り、ツアー全体のレベルが上がったといえなくもない。

小林浩美日本女子プロゴルフ協会(LPGA)会長もそのことを強調する。「1試合に対する集中力や執着心、粘り強さが昨年と比べて格段に上がったように感じます。特にQT組には1年間通して出場できる保証がないので、春先から上位に入ろうというモチベーションの高さがうかがえましたね」。当然、1打でもスコアを上げたほうが得られる賞金も多くなるので、積極的にピンを攻める選手も増えたという。実際、平均バーディ数を見ると昨年の50位は2・7273個だが、今年50位は2・7308個と若干だが上がっている。これもピンの位置が昨年とは異なったりするので比較できないと思うが、印象として攻める選手が増えた感じは受ける。

しかし、リランキング制度のおかげで、本来なら年間を通して出場できたQT上位者が辛酸をなめるケースも少なくない。QT1位の高橋恵は第2回リランキングで60位に、QT2位の松森彩夏は39位に、QT3位の田村亜矢は51位に順位を落とした。終盤戦はほとんど出場できないだけに、シード権獲得はかなり厳しい。どういう心境か、高橋に尋ねると意外な答えが返ってきた。「制度が変わっても、自分が頑張ってさえいれば、上位をキープできたわけですから不満はありません。むしろ、もっともっと上手くならなければいけないと思わせてくれるので、いいシステムだと思います」と高橋は前を向く。高橋はこの後、推薦による1試合しか出場が決まっていないが、「意地を見せたい」と語っていた。

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