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ツアー新記録更新の星野陸也、3年前と真逆の「左に乗って右で打つ」スイングで安定感アップ

星野陸也がツアー記録更新&好位置で決勝ラウンドへ進出

所属 ALBA Net
下村 耕平 / Kohei Shimomura

配信日時:2023年4月21日 18時23分

<ISPS HANDA 欧州・日本どっちが勝つかトーナメント! 2日目◇21日◇PGM石岡ゴルフクラブ(茨城県)◇7039ヤード・パー70>

星野陸也は満足感と達成感で顔を紅潮させて取材エリアに現れると、「ヨッシャ!」と記者たちに向かってガッツポーズ。この日、5バーディ・2ボギーの「67」で回り、『16ラウンド連続60台』のツアー新記録を樹立した。

会場のPGM石岡ゴルフクラブは自宅から車で30分。昨年は同会場で2つのトーナメントが行われており、日本ゴルフツアー機構(JGTO)単独開催だった4月の「ISPS HANDA 欧州・日本、とりあえず今年は日本トーナメント!」ではトータル24アンダーで2位、10月の「HEIWA・PGMチャンピオンシップ」ではトータル22アンダーで優勝している。星野にとって“庭”とも呼べる得意コースなのだ。

きのうの初日に「66」を出し、石川遼とセルヒオ・ガルシア(スペイン)の持つ15ラウンド連続60台に並んだ。パー70の設定でアンダーパーが出れば60台という状況だが、前の2大会とはかなり様子が違う。今週は欧州ツアーとの共催試合で、グリーンのコンパクションは硬くなり、ピンも端の厳しいところに切れられている。コースを知り尽くしている星野でさえも「グリーンの硬さとピンポジションでチャンスにつけるのが大変で、スコアは出にくくなっている」と感じていた。

きょうはインからスタートして前半を2アンダーで折り返し、後半の4番パー4でボギーを叩いたことで、トゥデイ1アンダー。60台達成には1つも落とせない状況にいた。それでも、「あれは大きかった」と続く5番パー5で3打目のアプローチを1メートルに寄せてバーディ。7番では右のフェアウェイバンカーからピンの右手前4メートルにつけて、バーディパットを決めると「まだ2日目なのに(笑)」ガッツポーズが飛び出す。

最終9番パー4ではティショットが左のラフへ。ダブルボギーでも記録達成だったが、手堅くグリーンに乗せてパーで締めくくった。これで昨年11月の「ダンロップフェニックス」第3ラウンドから60台が16個並んだ。

好調が続いている要因について、3年前から取り組み始めたスイング改造を挙げる。「自分のなかで体の使い方を大幅に変えていって、去年の段階から少しずつ体が慣れてきた。ティショットが安定していることが、ドライバーからパターまで流れが良くなった」。星野の持ち球はドローで、ティショットでは中弾道で曲がり幅の大きいドローを打つことが多い。スイングが固まってきたことで「ようやく今年に入ってフェードを加えたり、いろんな球筋が打てるようになってゴルフが楽しくなった」と語る。

星野陸也のクラブセッティング。ドライバーは「ZX5 Mk II」

星野陸也のクラブセッティング。ドライバーは「ZX5 Mk II」 (撮影:佐々木啓)

具体的にはスイングのどこを変えたのか。「今までは左足体重で構えて、(バックスイングで)右に乗って、左で打っていた。それは今でも打てるんですけど、右体重から左に乗って右で打つのができるようになった。極論でいうと、逆ができるようになった。足の張り方も真逆。いままでは左足が太くなっていたものが、いまは右が太くなるくらいの感覚に変わった」。

これには慣性モーメントの高いドライバーに対応する狙いがある。「前の打ち方だと大きいヘッドを打つと、体とクラブの動きが抵抗しあってうまくいかない部分があった」。それが体の動かし方を逆にしたことで、「少し大きいヘッドの重心に対して、クラブと体の抵抗がなく打てる。いまはクラブに対して体の動きの感覚が良くなってきた」とティショットに安定感が生まれたのだ。

そして「去年の後半くらいからスイングとクラブがマッチした」と、昨年10月の日本開催の米国男子ツアー「ZOZOチャンピオンシップ」から、ヘッドの重心距離が短めで操作性がいいスリクソンの『ZX7』から、少し重心距離が長くて直進性に優れた最新の『ZX5 Mk II』に切り替えた。星野の言葉を借りれば、「重心距離が遠いクラブで打てるようになった」のだ。そして、2週間後のHEIWA・PGMチャンピオンシップで優勝。さらに2週間後のダンロップフェニックスから60台の記録がスタートした。

今大会は記録更新だけではない。2日目を終えてトップとは3打差のトータル7アンダー・8位タイと優勝が十分に狙える位置にいる。あすもしっかり連続60台を更新して、欧州ツアーのトップ選手たちに食らいついていきたい。(文・下村耕平)

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