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石川遼が“3度”の18番で貫いた徹底戦略「いかに2m以内のバーディパットを打てるか」

石川遼が“3度”の18番で貫いた徹底戦略「いかに2m以内のバーディパットを打てるか」

所属 ALBA Net
下村 耕平 / Kohei Shimomura

配信日時:2022年11月13日 19時26分

石川の3番ウッドでのティショットは、前の2度よりもさらに右に曲がった。林の中からスライスをかけたボールは、左のラフまで到達。ピンチに陥ったが、石川は冷静だった。「3打目が打てるところにあって、本当にラッキーだった」。

ピンは上の段に上がって3ヤードほど奥。石川が左足下がりのラフから48度のウェッジで打った残り130ヤードの3打目は、この段の壁に当てて、狙い通り上の段に止まった。対する星野はフェアウェイからのセカンドショットを左のバンカーに入れており、ピンチは一転してチャンスに変わった。「普通に18番をプレーしていたら、3打目をあそこから打つのは到底いい内容ではない。あれで下の段に落ちたら万事休す。(上の段に)残ってくれて良かった」。

星野は左のバンカーから寄せきれず、バーディパットを外した。続く石川のバーディパットは2メートル強。入れば優勝だ。「ほとんど真っすぐのライン。佐藤キャディとそう読んで、自信を持って打ちました」。ボールはカップに吸い込まれ、「入った瞬間に頭が真っ白になった」。

一昨年から始めた3年近くにも及ぶスイング改造、セッティングの見直し、そしてマネジメントが結実した瞬間だった。19年の「日本プロ」で挙げた3年ぶりの勝利と、この3年ぶりの優勝には違いがあると石川は言う。

「日本プロに勝ったときはドライバーが絶好調で、パターもアイアンも良かった。すべてがハマってプレーオフで優勝。今回はそんなにめちゃくちゃ良かったわけではないけど、丁寧にプレーするのを意識して、欲だったりあわよくばガムシャラに打ったら上手くいくんじゃないかという瞬間はなかった。日本プロは目の前のことでいっぱいいっぱい。最終ホールも祈りながらマン振りしていた」と、同じ3年ぶりの優勝でも、今回は確率を重視したマネジメントを貫いていた。

それが集約されたのが、最終日だけで3回プレーした18番だった。「最後は泥臭くバーディ獲って終わったんですけど、18番はいかに安定して2メートルのバーディパットを打てるかを意識していた。イーグルを獲って優勝は現実的でない。2メートル以内のバーディパットを打てるようにマネジメントしてきた」。正規の18番こそ長いバーディパットとなったが、プレーオフ1ホール目では2メートル弱、最後の2ホール目では2メートル強と、ティショットをどんなに曲げても“最終的に”ほぼ2メートル以内のバーディパットを打ち続けた。

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