ただ、環境だけでゴルフが上手くなるわけではない。本人の努力があってこその成長だが、同レンジには天然芝のアプローチ練習場があり、そこで毎日のようにボールを打ったことで今ではアプローチに絶対的な自信を持つ。実際、この日もアプローチが冴え、特に9番パー5で2打目をグリーン手前の残り25ヤード地点まで持ってくると、そこからピン右下1メートルにつけてバーディを奪っている。ちなみに、この日使った60度のサンドウェッジは自分でソールを削ったというから驚く。
小学生時代は、インド、ミャンマー、タイ、マレーシアに遠征するなど、海外のコースでプレーした経験を持つ。また、正宏さんの教育方針として「本物を見せる」ことがあり、5歳の頃に米国男子ツアーの「BMW選手権」へ行き、「いろんな技を見せるから好き」という憧れのフィル・ミケルソン(米国)のプレーを生で観戦した。
今年6月からは米国へ渡り、米ツアーのプレマンデーに挑戦する予定だという。プレマンデーとは、本戦の出場権をかけて戦うマンデートーナメントに出るための予選のこと。関門は2つあるが、それをクリアすると幼少の頃にロープの外から観ていた米ツアーの試合を、今度は自分がロープの中で戦うことになるのだ。
長期滞在になれば、経費はかさむが、幸いなことに今年からアマチュア資格規則が改定され、アマチュアでも企業と契約できるようになった。香川は現在、明治安田生命やすしざんまいなど6社と契約している。将来の夢は「マスターズで優勝すること」だが、今大会では「予選を通って上位にいきたい」と話し、60位タイまでの予選通過を目標とする。それが叶えば、伊藤誠道が持つ国内男子ツアーの史上最年少予選通過記録を13年ぶりに更新することになる。(文・山西英希)