バブル時代、ゴルフ場の駐車場はクルマ自慢の場でもあった。ゴルフに行くにはクルマが一番便利な乗り物だけになおさらで、高級車ばかりが並んでいた。見た目だけでなく技術も大きく進化して、豪華装備を競い合った時代で、個性派揃いだった。そんなバブルのゴルファーズカーを振り返る。
バブル時代のゴルファーズカーと言えばなにはともあれ、サルーンだ。サルーンという言葉自体、死語な感じだが、高級なセダンと言えばいいだろうか。ゆったり、まったりと快適な移動ができるクルマとして人気だった。かといってサルーンばかりでないのもバブルという時代で、「ゴルフバッグが積めないとクルマが売れない」とまで言われたほど。クルマとゴルフは今まで以上に切っても切れない関係だったのだ。
【日産 シーマ 〜1988年〜】大ヒットしすぎて“シーマ現象”まで発生
日産の基幹サルーンだったセドリック/グロリアのさらに上級モデルとして登場。同社のフラッグシップとしてはプレジデントがあったが、こちらは運転手付きのハイヤーがメイン。シーマは自分で運転するパーソナルサルーンというのがポイントだった。
セダンと言えばそれまでは四角張ったデザインが多かったのに対して、シーマは曲線をうまく取り入れたソフトなシルエットで新時代を感じさせたし、性能的にも3リッターのV6セラミックターボや電子制御のエアサスはインパクト大。リアを下げながらフル加速していたのも懐かしい。
シーマ現象という言葉が出るほど大ヒットして、ライバルのクラウンを駆逐。発売1年間で3万6400台、販売された4年間では12万9000台も売れた。女優の伊藤かずえさんが今でも乗っていることでも話題に。
【トヨタ セルシオ 〜1989年〜】世界の自動車メーカーが驚愕した高品質
1989年にアメリカで立ち上げられたレクサスでLSとして販売され、国内ではセルシオの車名で販売された。もちろんシーマの大ヒットに対抗する意味もあった。
NAの4リッターV8のエンジンは静かでパワフル。サスペンションは最上級モデルで電子制御エアサスが採用され、極上の乗り心地を演出した。エンジンがかかっているかわからないほどの静粛性や乗り心地、インテリアの質感などは当時としては驚異的で、メルセデスをはじめ、世界の高級車づくりを変えたと言われたほどだった。
【トヨタ クラウン 〜1987年〜】日本のサルーンと言えばやっぱりこれ!
日本のゴルファーズカーと言えばやはりクラウン。とくに1980年代は一気に花咲いた感じだ。もちろんボディカラーはスーパーホワイトII。1987年に登場した8代目は、あの有名なキャッチコピー「いつかはクラウン」が付けられたモデルである。
サルーンテイスト全開のハードトップは人気で、8代目ではさらに存在感があるワイドボディも設定された。当然大ヒットで、1990年には史上最高の約24万台を年間で販売したのは、現代からすると驚異的だ。このワイドボディに対抗すべく、日産が放ったのが冒頭に紹介したシーマ。まさに高級車合戦の時代だった。
【トヨタ マークⅡ 〜1988年〜】クラウンの弟分は独自路線で大ヒット
クラウンとともにマークⅡもバブルを彩ったサルーンだ。クラウンの弟分的な位置づけではあったが、ただ単に下位モデルというのではなく、独自路線を貫くことで1988年登場の6代目は大ヒットとなった。
エンジンは全車DOHC化され、クルマ好きの方なら「ハイメカツインカム」という言葉は懐かしいはず。ツインターボやスーパーチャージャーも装備されて走り好きの心もくすぐったし、若者のなかではハイソカーブームなるものも発生。
ボディカラーは5代目で採用されて大人気となったスーパーホワイトⅡが定番だった。マークⅡには兄弟車として、クレスタ、チェイサーがあり、それぞれにファンがいて、全盛期には3モデルで月販4万5000台を記録した。
【日産 セドリック/グロリア 〜1987年〜】日産らしい走りのサルーン、その名はグランツーリスモ
クラウンとライバルになるのがセドリックとグロリア(販売店違い)。Y31型と呼ばれる7代目(グロリアは8代目)はバブル景気のおかげで開発費が潤沢で、実際にクルマとしての作りもよかった。
メカニズムにこだわるのも日産らしく、V6ターボは爽快な走りが楽しめたし、さらにスポーティーに仕立てたグランツーリスモも人気だった。
ただ販売台数はクラウンに及ばなかったが、次の8代目、Y32型では上回ることができた。トヨタと日産が真っ向勝負していた時代だ。
番外編【ホンダ NSX 〜1990年〜】スーパーカーだってゴルフバッグが積めなきゃダメ⁉
バブル時代、ゴルフも人気のスポーツとなった。それゆえ、クルマに求められる資質としてゴルフバッグが積めることが至上命令とされ、とくにディーラーからは「ゴルフバッグが何本積めるかで売れ行きが違う」などと言われるほどだった。
サルーンやセダンは納得なのだが、なんとスポーツカーにまで及んだのはバブルならでは。日本初のスーパーカーであるNSXも例外ではなく、リアのタイヤから後ろが長いのはなんとゴルフバッグを積むために延長されたからでもある。そこまでするか? と思うが、そこまでするのがバブル時代のクルマなのだ。(文・近藤暁史)
