多くのツアープロに愛用されている弾道計測器「トラックマン」の日本ショールーム兼オフィスが、台東区・南砂町から港区・赤坂へ移転した。これに伴い、メディア向けに新拠点がお披露目された。
会場では、トラックマンのゼネラルマネージャーを務めるデビッド・カーデュー氏と、現在コーチとして活動する青島賢吾氏によるトークセッションも実施。日本市場におけるトラックマンの展開について意見が交わされた。
プロが練習のために使う弾道計測器の代名詞的存在であるトラックマン。PGA選手を数多く輩出する名門・ウェイクフォレスト大のゴルフ部で戦った青島氏もトラックマンを活用してきた一人。「実戦の準備を助けてくれる」とバーチャル機能を活用し、ラウンドで起こり得る状況を想定し、ショットの打ち分けを練習してきたという。また、「学生が10人ほどでもトラックマンが2台ある環境が当たり前だった」と語る。大学のレギュラー選考においてもトラックマンのデータが重要な判断材料となっており、米国ではデータ活用が常識になっている。
ツアーに焦点を当ててみるとドライビングレンジでは、画面と向き合いながらトラックマンで弾道データを確認する選手の姿が当たり前のように見られる。選手のトラックマン使用率を見ると、PGAツアー(69%→72%)やDPワールドツアー(76%→81%)では使用率が伸びている。ただし、日本ツアーに目を向けると男子ツアーは横ばい(66%→66%)、女子ツアーも微増(58%→59%)にとどまっている。
この点についてカーデュー氏は、「日本のツアーでは数値よりも動画を重視する選手が多い」と話す。青島氏も同意しつつ、動画に加えて数値的な裏付けを持つことで、より効率的な技術向上につながるとの見解を示した。
弾道計測機としての印象が強いかもしれないが、実はバーチャルラウンドやゴルフを介したミニゲームなどを楽しめる、「エンターテインメント性も兼ね備えている」点をカーデュー氏は強調する。実際、その機能を活用して「ニアピンマスターズ楽天杯」「ADIDAS CUP」「TOUR ADカップ」など、オンラインでの全国規模の競技機会も創出している。
さらに、トラックマンの新機能「3Dモーション分析」も紹介された。すでに米国のPGAショーで発表されている機能で、日本ではいち早く体験できる機会となった。
この機能は、スイング中の身体の動きを3次元で可視化し、身体、クラブ、ボールの動きを一連の流れとして捉えるもの。原因と結果を包括的に把握できる点が大きな特徴だ。実際にスイングすると、身体は3Dモデルで360度表示され、弾道データに加え、スタンスの向きや前傾角度、頭部の動きなどが数値と映像で確認できる。
筆者も体験したが、インパクト時に前傾姿勢が起き上がるクセが、数値の変化として明確に示された。感覚だけに頼らず、数値という根拠を持ってスイング修正に取り組める点は、大きな魅力といえそうだ。
弾道を測る機器から、プレーそのものを理解するためのツールへ。トラックマンは、データと感覚の間を埋めながら、ゴルフの向き合い方そのものを変えつつある。日本のゴルフシーンにおける次のスタンダードを発信する拠点になりそうだ。(文・齊藤啓介)