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PGAツアー勝利で注目される、小平智のクラブセッティング

text by Kazuhiro Koyama

配信日時:2018年5月4日 14時59分

ウッド3本は、先端しなりが特徴の同一シャフト

小平智の優勝セッティングは?

小平智の優勝セッティングは?

マスターズを戦い、PGAツアー優勝を成し遂げた小平のクラブセッティングを改めて見てみよう。まずはドライバー、プロギアの『RS-F プロトタイプ』だ。このモデルは一昨年発売され人気になったものの、年末にR&Aから不適合裁定を受けた『RS-F』(2016年モデル)の無償交換品として生まれたヘッドだ。

同社では、さらなるギリギリの反発係数を目指しつつ、ルール適合となる『RS-F』(2017年モデル)を販売中だが、小平はプロトタイプを愛用している。市場に流通するヘッドには、「RS F」と刻印があるが、小平の使用するヘッドは「F」の表記がないようだ。

昨年秋に愛用するドライバーが割れてしまい、その後30個以上のヘッドを試したという。同じように作られた同じモデルのヘッドであっても、クラブになったときに微細な違いは出る。その違いを察知し、イメージに合うものを選ぶ小平の感性はトッププロならではのものだ。練習場で良くても、試合中のプレッシャーのかかるティショットで結果が出なければ意味がない。これから気候の異なる米ツアーを戦う上で、さらに調整が行われるはずだ。

フェアウェイウッドは、3Wがテーラーメイド『M2』(2017年モデル)。飛びに定評があり、契約外のプロも多く愛用しているモデルで、昨年までは松山英樹も使用していた。5Wは、プロギアの「iD Nablaブラック」。2012年発売のモデルで、カーボンクラウンを採用し低重心になっているのが特徴だ。トゥ側後方にウェイトがあり、左へのミスを抑えようとする意図が伺える。一般的にフェアウェイウッドは、重心角が大きくつかまりのいいモデルが多いが、ヘッドスピードの速い男子プロには扱いづらい場合がある。ほどよく操作でき、他のクラブとの流れのいい点が、旧モデルを長く愛用する理由だろう。

ウッド3本には、グラファイトデザインの『TOUR AD クワトロテック』シャフトが装着されている。先端部分の動きが大きい、いわゆる“走る”シャフトだ。ドライバーの『RS-F プロトタイプ』は、重心深度が深く、重心までの距離が遠いヘッドだ。その分、先端の動きが大きいシャフトは、その挙動が強調されてコントロールは難しくなりがちだが、小平はそれを巧みに操り、強い弾道を得るストロングポイントに変えている。

松山英樹が、先端剛性の強い『TOUR AD DI』を長らく愛用するように、男子プロは動きの大きなシャフトを好まない選手が多く、小平のシャフト選びはなかなか個性的だ。地面から打つフェアウェイウッドも同じシャフトで、よほど扱いやすくタイミングが取りやすいのだろう。

こだわりのヘッドパーツを多く採用!

ユーティリティは、アイアン型の『iD Nabla RS TOUR iu』の3番(18度)を入れている。ご存知のようにプロギアはかつて、通称“タラコ”と言われ、ユーティリティのはしりとなった『インテスト』を発売したメーカー。90年代後半には、同じくアイアン型の『zoom i』が大ヒットした。このモデルもどこか『zoom i』を思わせるデザインで、プロギア契約プロに使用者が多い。ヘッドだけで販売し、特約店で組み立てを行う「PRGR TUNE」のラインナップだ。

 アイアンも「PRGR TUNE」のラインナップで、軟鉄鍛造の『PRGR TUNE 01 CB』を使用している。国内の製造工場で作られたこだわりのヘッドで、上級者が好む極上の打感を楽しめるモデルだ。小平はマスターズ後にひと回り小さなヘッドに変更したというが、早速大きな成果が出た格好だ。

 52度のウェッジはプロトタイプのようだが、そのシェイプは『iD Nabla RS TOUR』ウェッジがベースになっているようだ。こちらも「PRGR TUNE」で
ヘッド販売していたもので、プロ好みのシャープな形状が特徴だ。小平をはじめ多くの契約プロが愛用しているのは、中上級者向けにこだわりのヘッドパーツを揃えた「PRGR TUNE」の真骨頂だろう。

 サンドウェッジはフォーティーン『RM-22』。パターはスコッティ・キャメロンでこのあたり男子ツアープロの定番というところ。一時は、尾崎将司から譲られたというマスダゴルフ『M425』ウェッジを試合で投入していた。

 契約先のクラブをフル活用し、そのポテンシャルを引き出している小平。それが国内メーカーのプロギアという点もまさに日本代表と言ったところだ。ほぼ無名の日本人選手が優勝したということで、アメリカでもにわかに注目が高まっているという小平。日本ツアーにもいい選手がいることを世界に証明してもらいたいものだ。

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