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PGAツアー勝利で注目される、小平智のクラブセッティング

text by Kazuhiro Koyama

配信日時:2018年5月4日 14時59分

RBCヘリテージで日本人5人目となる米ツアー優勝を飾った小平智(PHOTO by GettyImages)
RBCヘリテージで日本人5人目となる米ツアー優勝を飾った小平智(PHOTO by GettyImages)

日本人5人目となる小平智の米ツアー優勝

小平智がRBCヘリテージで優勝した。日本人選手による米ツアーでの優勝は、青木功、丸山茂樹、今田竜二、松山英樹に次ぐ5人目となる快挙だ。一般のニュースでも報じられ、帰国後の中日クラウンズでは多くのギャラリーを集めたように、その反響は大きい。その前週にはゴルフの祭典、マスターズを戦い、28位タイに入った。はじめての出場ながら予選を通過し、4日間戦ったのは大いに健闘したと言えるのではないだろうか。

マスターズまでの道のりも特筆に値する。

昨年の後半戦、ANAオープン終了時点で、小平の世界ランキングは93位とマスターズの出場権を得る50位までにはかなりの隔たりがあった。強豪ぞろいの米欧両ツアーの選手が上位にランクインしていることを考えるとその差は大きく、50位以内に入るのは、相当困難な状況だったと言えるだろう。

しかし、トップ杯東海クラシックと住友VISA太平洋マスターズで優勝し、国内ツアー終了時点で51位と大きく順位をあげた。12月末の時点で50位に入っていれば、出場権を獲得できたところ、残念ながら僅差で逃したわけだが、小平はシーズンオフにも海外を転戦。その結果、SMBCシンガポールオープンとレオパレス21ミャンマーオープンで2位に入るなど、世界ランキングは一時35位まで躍進し、最終的に見事、マスターズ出場権を手にした。

マスターズに出場するという目標のため、6ケ国にわたり、7試合を戦い、わずかなチャンスを掴み取った小平には、ゴルフの実力はもちろんのこと、現在の体力面や精神面での充実ぶりを感じさせる。
 目標であったマスターズを戦い抜き、あるいは緊張の糸が切れてしまうこともありそうなものだが、次の週に見事、米ツアー優勝という偉業を成し遂げた。その勝ちっぷりは、松山英樹に次ぐ、新たな実力派スターの登場を期待させるものだ。

米ツアーのシード選手としてではなく、国内男子ツアーの選手として参戦し、優勝したことの意味も大きいだろう。丸山茂樹、今田竜二、そして松山英樹はシードを保持し、米ツアーを中心に一年間のスケジュールを組んで、アメリカに腰を据えて戦っていた選手だ。

青木功もまた、ハワイアンオープンの数年前から、積極的に海外の試合に参戦していた。1978年には世界マッチープレー選手権で優勝。1980年には今も語り継がれる“バルタスロールの死闘”の末、ジャック・ニクラウスについで全米オープンで2位に入った。82年には賞金ランキングでシード権を獲得している。1983年のハワイアンオープンでの優勝は、その挑戦のひとつの頂点となった。

そして、米ツアーに挑戦し、悲願を達成することなく終わった、何人もの先達がいることを改めて思い出させる。古くは、水巻善典や尾崎直道。田中秀道や横尾要、丸山大輔や岩田寛など、多くの選手達が出場権を得て、米ツアーに挑戦し続けた。優勝争いもあり、ベストテンにも何度も入ったわけだが、勝利を掴むには至らなかった。本当に高い壁がそこにはあり、その難しさは、パワーゲームの傾向が強くなった近年になり、さらに高まったように見える。

小平はシード権のない選手として、スポット参戦で勝利したはじめての日本人選手となった。その意味では国内男子ツアーの選手として初の優勝と言えるかもしれない。様々な分野には、偉大なパイオニアが存在するものだ。小平の優勝は、これまでの日本人選手による挑戦の延長であり、またこの勝利によって、多くの日本人選手が「自分にも出来るのでは」と思えるだろう。後に続く選手たちのためにも、その意義は極めて大きい。

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