スイング改造に成功し、ひさびさの優勝争い
しかし、ゴルフの内容には少しずつではあるが、確実に変化が見られるようになった。特に、アメリカ参戦時代から取り組んできたというスイング改造が進み、そのスイングは大きく変わっている。かつてはトップでの右ひじの位置が高く、そこから左に振り抜いてフェードを打っていたが、現在はフラットでコンパクトなトップへと進化しているのだ。その結果、よりボディ主体の現代風のスイングになりつつある。
それまでのトップは右脇が開くのが特徴で、その動きでダウンスイングに向かうタイミングを取っていたはずだ。この点を修正するのは、運動神経に長けたプロゴルファーであっても簡単なことではなかったろう。すでに12勝をあげていたスイングを大きく変えることにも勇気が必要だったはずだ。
3日間ないし4日間で安定した成績はあげられなかったものの、昨年はかつての強い有村を彷彿する、切れのあるショットが何度も見られた。スイングが変わるのと時を同じくして、プロ入り以来、愛用していたクラブ契約とウェア契約を変更。ウェアはニューバランスになった。スポーティーで明るいデザインは、アスリートとして成熟した有村にマッチしている。
シューズは、快適で疲れにくいウォーキングシューズのノウハウを活かしつつ、ゴルファー特有の足の動き、特にスイング時の戻り足に着目して、ソールの接地面積が大きくなるように設計された『MG2500』を使用中。これは職人肌のベテラン、藤田寛之も愛用している。
そして今季、ベストテンフィニッシュは2回だが、獲得賞金額はすでに2000万円を突破し、来シーズンのシードを早々に確定しそうだ。サントリーレディースでは、3打差の5位からスタートした最終日、バックナインで5つのバーディーを重ね、復活優勝を期待するギャラリーから大歓声を受けた。多くのファンが、今も有村の活躍を待ち望んでいたことがわかるシーンだった。
プレーオフでは残念ながら6年ぶりの優勝には届かなかったが、最終日バックナインでの力強い追い上げと、以前にも見られなかったようなプレーオフでの緊張感のある佇まいを見ると、復活の狼煙はあがったと言えそうだ。スイングが変わり、クラブもウェアも変わって、まさに新生した有村智恵。今季中にも優勝する姿が見られるかもしれない。