飛距離アップは、1インチ長くなったから?『M3 440』になったから?
PCM筒康博(以下、筒) 「まぁ、歴代日本人最強かもしれない、松山英樹プロですから。彼の目指しているところなんて、誰も理解できるはずがないですよね。海外メディアもしょっちゅう打ち終わりで手を放すけど、結果が真っすぐ飛んでいることを不思議がりますが、超感覚重視で結果出る球と本人の手応えは全く切り離していることは明白ですよね。アマチュアでもプロでも、普通は結果重視になりますけど、真逆です。あくまでも、自分の感覚的なものが一番の主眼に置かれていますよね」
筆者 「本題の『M3 440』が長期政権を築くか?ということなんですけども…。というのも、先代エースのキャロウェイ『GBB』は破損もありつつ、2016年10月から2018年4月までの1年半も使いました。その前の『ZR-30』も破損もありつつ、かなり長く使ってきましたよね。松山英樹の場合、これまで気に入るとかなりの長期政権になるケースがあるので、今回もそうなる気がするんですが…」
P編 「【気持ちよく振れている】と繰り返していたけど、よくよく考えてみるとスペックが変わってるよね?『GBB』の時は44.75インチだったけど、今回の『M3 440』は1インチ伸ばして45.75インチになっているんじゃないの?ヘッド重量も違うだろうし、ここまでスペックが変わって気持ちいいというのが意外だね。飛距離アップも長くしたことが大きいと見る人も多いと思う。私の意見は違うけど…」
筒 「はい。ボクも長くした影響だけとは言えないと思います」
「M3はヘッドが重いのに、なぜか存在感を感じず速く振れる」(筆者)
P編 「分かるよ。私が最終ホールで鉛を貼った理由もそこにある。少し、ヘッドの存在感を足したかったんだ。ただ、一番硬く感じるシャフト向きも探した上での可変だったけどね。そこも重要だから」
筆者 「マジで、あれには驚きました。たった4g程度の鉛1枚で、あそこまでヘッドの存在感が変わるとは。それでいて、速く振れることには変わりなかったです」
筒 「ボクも近いことを感じましたし、この『M3』 シリーズは、FWが得意で飛ぶ選手に合うドライバーだと感じますね。『M4』と違って俊敏にヘッドがターンしますし、FW感覚で打つと結果を出しやすいのではないかなと。実際、ヘッドスピードの速いゴルファーのリシャフトをしたんですが、FW用のシャフトを44.75インチで提案したところ、最高の結果が出たお客さんがいます」
筆者 「う〜ん、長くした松山英樹とは真逆の話しですね…。話がとっ散らかる…」
P編 「いや、そんなことない。松山英樹プロは、元々『GBB』の時からそこまでバランスの重いドライバーではないだろう?今回もシャフトは『ツアーAD DI-8TX』 だけど、前はD3くらいのバランスだったはず。『M3』 のように実際は重いけど、ヘッドを重く感じないヘッドだから長くできた可能性もあると思う」
筒 「ちょっと、この謎を解き明かすには、リシャフトして振り心地をテストする必要がありますね。純正シャフトを振っただけの感じ方では、議論になりませんよ」
筆者 「はい。ボク的には、このヘッドには低トルクの棒のようなシャフトが合うと思うんですよね…」
P編 「それは、君のスイングに合うというだけだろう。ちょっと、いろいろとテストしてみよう。私も気になる」
筆者 「了解しました。では、松山英樹にとっての長期政権になるか?というお題は、テスト後にまた議論しましょう」
Text/Mikiro Nagaoka