持病の腰痛から開放された途端 米ツアーのヘッドスピード記録を更新
タイガー復活の要因は、ここ数年、彼を悩ませてきた腰痛から解放されたことに尽きるだろう。昨シーズンも、ファーマーズ・インシュアランス・オープンで約1年5カ月ぶりに米PGAツアー復帰を果たしたが、同大会を予選落ちしたあと持病の腰痛が悪化。ドバイ・デザート・クラシックを途中棄権してそのまま戦列を離れ、4月には4度目の手術を行った。その後はリハビリに専念。昨年の9月には歩くことすらままならなかったというが、ここ数カ月で驚異的に回復したようだ。
また、この回復によって、「体を守ろうとして行っていたセーブ気味のスイング」から、タイガーらしい「思い切りのいいスイング」ができるようになったのも大きい、と本人は語る。
ナイキの撤退を受け 更新したギアが復活を後押し
さらに、ギアとの相性が復活の後押しをしたと考える関係者は多い。
ナイキの撤退を受けて手にしたテーラーメイドのクラブは、ドライバーに関してはまだジャストフィットとはいっていないようで、フェアウェイキープ率は51.61%(202位)、トータルドライブ(ドライビングディスタンスとフェアウェイキープ率の順位を加算したポイント)147位と低迷しているが、プロトタイプのアイアンは威力を発揮。確実にグリーンをとらえ始めている。
ドライバーの飛距離は、他の“若い”プレーヤーと比べても遜色ない数字を叩き出しているし、ショートゲームとアイアンに関しては、松山が語っていたように、全盛期を彷彿させるショットを繰り出しているからだ。
ショートゲームの好調ぶりは数字にも表れており、アーノルド・パーマー招待では、グリーン周りのストロークゲインド(ショットの貢献度)が+1.089で大会2位。パッティングは+1.381で8位。タイガーのイメージ通りにボールは回転し、カップに吸い込まれていく。
さらに、この「TOUR B XS」はスピン性能だけでなく、風の中での弾道の強さ、飛び性能も両立しており、タイガーはそのトータルパフォーマンスの高さに驚いて、このボールで戦うことを決めたという。
体調が回復し、それに伴ってスイングも良い状態に仕上がり、戦うための武器も整った今シーズンのタイガー。そしてまもなく始まるマスターズ。最終日のオーガスタの18番、数多くのパトロンたちで埋め尽くされたスタンドに、「TOUR B XS」が緩やかな放物線を描いて投げ込まれるシーンが、今年は見られるかもしれない。