飛距離性能抜群の『GX』ドライバー!
フェース素材である『ストロングフォージド・エリートチタン』は、一般的なチタン合金(6AI-4V)と比較して10%強度が高い航空宇宙素材で、すでに『MP』ドライバーでも採用されている。同様に、『MP』でも評価の高かった『ウエーブテクノロジー』と相まって、フェースの強度を保ちつつ、たわみ量を増加させている。高初速エリアはヒット作となった『MP TYPE-2』ドライバーと比べて、17%も広がった。
早速、打ってみると、1発目から250ヤードを超えるボールが飛び出した。打ち出し角はやや高めだが、スピン量が少なく強い球質で飛んでいく。それ以降も、決して暖かくない冬場の気候の中、何枚も重ね着をしたコンディションで230ヤードの旗をキャリーでオーバーしていた。強めのアゲンストの風でも、多少のミスヒットでも、安定して飛んでいるのもありがたい。
球質を見れば、『GX』が飛距離をいかに追求したかがよくわかる。アマチュアレベルの試打にありがちな打点のブレをもろともせず、ナイスショットと変わらないボール初速を出し、高スピンで飛距離をロスしているゴルファーを想定したためか、低スピンで重い球で飛んでいく。滞空時間の長い弾道を自然と心地よく感じる。
筆者のヘッドスピードはトラックマンで40〜42m/s。他の計測器ならもう少し速く出るかもしれないが、決してパワーヒッターではない。気温などの条件を考えると、十二分な飛距離性能といえるだろう。冒頭、ミズノの印象が変わったと感じたのは、この瞬間だ。飛距離という機能を追求し、かなり高いレベルで仕上がっている。
ヘッド形状は、後方の丸みが強調され安心感がある顔つきだ。打感はしっかりとした弾き感があり、『MP』ドライバーのようなマイルドな打感とは好対照と言えそうだ。『MP』のマッスルバックアイアンを思わせる喰いつくような感触は魅力的だが、『GX』にはより遠くに飛びそうな手応えがある。
次世代シャフト『MFUSION』。R=39g、SR=44g、S=49gとフレックスによって重量が大きく変わるのも特徴だ。
シャフトが軽量であれば、ヘッドスピードが上がるケースが多い。しかし、一般的な軽量シャフトはグワンと大きくしなってしまいタイミングが取りづらいものも少なくない。軽くて硬ければボールに当てやすく、フォローまで振り切れる。これなら、ゴルファーがさらにそのポテンシャルを引き出せるケースも多いだろう。
一方、軽くて暴れない『MFUSION』は、切り返しで間が取れずアウトサイドイン軌道になったり、手打ち傾向が強くなるおそれもある。ゴルファーは、シャフトのしなりでタイミングを取り、クラブの重さとバランスしてスイング軌道を作るものだからだ。もし、しなり感が欲しいなら、フレックスを落としてワンランク柔らかいシャフトにするのも良いだろう。
筆者は全スペックを打ってみたが、しなりを感じたいタイプでもあり、フレックスSRがタイミングを取りやすかった。ヘッドスピードで言えばフレックスSがマッチするが、むしろRでも十分なほど。逆に、シャープに振り切りたい人なら、軽くて暴れない『MFUSION』がまさにマッチするだろう。
ドライバーのシャフトは、Sシャフトで49g。R。とSのあいだに10gもの差があり、重さと硬さの違いが大きい。『GX』ドライバーの性能を引き出すには、このスペック選びが特に重要になりそうだ。