「ボールがいちばん大切なギアなんだ」とタイガーが語ったように、プロは慣れ親しんだボールのスイッチには消極的だ。しかし、シーズン途中にも関わらず契約プロ・契約外プロ問わず次々と実戦に投入、すでに全世界で幾多の優勝カップをさらった『TOUR B X/XS』とは、いったいどんなボールなのか。先週のダイヤモンドカップゴルフでツアー3勝目を飾った片岡大育を例に、その実態に迫る。
プレースタイルに合わせたボールセレクトが成功
ドライバーが低スピンになれば、飛距離アップにつながるケースが多い。一方、グリーンを狙うショットでもある程度は、バックスピンを減らすことで縦の距離感が安定する。
加えて、アイアンでも適正にスピンを減らすことが出来れば、アゲンストの風でも飛距離が落ちにくい弾道になる。片岡の使用する『TOUR B X』は、特にその点が進化している。過去の同社のボールだけでなく、競合他社のボールと比べても、アイアン領域でのスピン量を減らすことに成功している(※同社のテスト結果より)。
ボールのコア中心部と外側の高度差を大きくすることにより、風に強い弾道になる(ブリヂストンスポーツのHPより)
ユーティリティを使った高弾道のフェードボールは、直接グリーンに止めることも出来る片岡の大きな武器。スピン量が多いタイプだったため、『TOUR B X』で、適正な距離感と弾道の強さを得ることが出来た。「ダイアモンドカップ」では、よりアゲンストに強い弾道になるよう、ボール位置を修正するなどの微調整も行ったという。
『S』系ボールを使う選手が、自身の強みであるショートゲームの強さを活かすのに対して、片岡は、『TOUR B X』を使って、ドライバーの飛距離を補い、フルショットでの弾道の強さを手にしている。これが出来るのも、片岡の真の強みであるショートゲームにおいて、『S』系に引けを取らないスピン性能の高さが、『TOUR B X』にはあるからだ。
片岡大育優勝時のお約束、相棒の伊能恵子キャディによる「王子様抱っこ」。次のお目見えは意外と近いかもしれない(撮影:鈴木祥)
フルショットでは低スピン、アプローチでは高スピンだからこそ、飛距離と風への強さを補いつつ、生命線のショートゲームで勝負できる。この相反する性能を実現できていることが、片岡のプレースタイルを構成する大きな要素になっているのだ。
プロからの『TOUR B』シリーズの評価は高く、今季は世界中で33勝をあげている。特に、ブリヂストンとボール使用契約を結んでいない選手までも使用して好成績をあげているのが特筆される点だ。飛距離が出て、風に強く、ショートゲームでの性能も高い『TOUR B X』は、片岡や宮本勝昌らが、優勝という形でその性能を証明している。10月6日の発売を控え、ツアーではこれから勝利数を重ねていくだろう。