パッティングとショットを分けて考えたい選手の思考とは?
パッティングに悩み、中尺や長尺パターを使ったかと思えば、クロウグリップやクロスハンドなど握り方を変えてみたりする選手は、総じてショットメーカーが多い。切れ味鋭いショットを持つ彼らは、パッティングの微妙な動きを連続して行うには、感性が鋭すぎるのではないだろうか。それだけに、パターは鈍感なモデルを選び、グリップも手首を固定したり、腕を伸ばしたりとショットとは別のスタイルにする。ショットの感性をパットでは殺しておきたいのだ。
前出のブライソン・デシャンボーは、アイアンの長さを同一にして、全てのクラブを同じ感覚で振ろうと努力しているゴルファーだ。その選手が、パッティングでは、ショットと全く違う動きになるサイドサドル式を採用するのは、極めて興味深い。デシャンボーは、パッティングはショットとは別のロジックで考えたい理由があるのだろう。
2016年に施行されたアンカリング打法の影響は、軽微だったという意見もあるが、私はそうは思わない。スタッツに表れなくても、多くのプロが翻弄され、対策を余儀なくされている。調子を崩し、そのまま復活できなくなる選手も少なからず存在するだろう。レギュレーションが変われば、当然、要求される技術も変わってくる。それに合わせて、様々なアイディアを試し、有効な技術へと具現化するプロの叡智には、畏敬の念を禁じ得ない。
パッティングに悩むゴルファーは多いが、パッティングとショットを別に考えるこれらの方法は、練習量の多いプロ向きの発想で、アマチュアには参考にならないかもしれない。むしろ、アプローチに苦手意識がないなら、アプローチとパッティングのイメージを寄せたほうが、シンプルになるのではないだろうか。アプローチするようなイメージで、パッティングすると、距離感のイメージが出やすく、シビレがちな手も動きやすくなるかもしれない。
古くは、杉原輝雄や青木功、近年では、ジム・フューリックやザック・ジョンソン、そしてジョーダン・スピースなど、多くのパットの名手が、アプローチの名手でもある。新しいパッティングスタイルをものにするよりもずっと簡単だと思うが、いかがだろうか。