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石川遼がロフト64度のウェッジをバッグに入れた理由とは?

text by kazuhiro koyama

配信日時:2017年2月16日 08時00分

PGAのツアープロがハイロフトウェッジを使う理由とは?

64度ウェッジを追加したほか、ドライバーも『GBB EPIC STAR』にスイッチ(撮影:村上航)

64度ウェッジを追加したほか、ドライバーも『GBB EPIC STAR』にスイッチ(撮影:村上航)

 難しいはずの64度ウェッジだが、なぜ石川遼はバッグに入れたのだろうか。やはりそれは、PGAツアーを戦う上で、それでないと寄せられない難しい状況が多いためだろう。

 PGAツアーが開催されるコースには様々なタイプがあるが、その難度はいずれも高い。特にグリーン周りは過酷で、うねるような深いラフや硬い地面が多く、高さのある砲台グリーンに代表されるように、傾斜が非常にきつい。ピンに近いサイドに外してしまえば、ピッチエンドランやワンクッションしてのコロがしでは、到底寄せることの出来ない厳しいアプローチが残る。平らなところが、カップ周辺の僅かなエリアしかないグリーンも少なくない。

 そんな状況でもボギーでOKではなく、パーを拾っていかなくてはならない。リスクを犯して、難しいショットを選択してでもピンに寄せなければならない。そんなときに、力を発揮するのが60度以上のハイロフトウェッジだ。ボールを高くあげて、コロがりを極力少なくするロブショットや、ボールの勢いを殺して止めるフラップチップ、スピンを強くかけるショットも打てる。ボールをコロがすスペースがないとき、ピンのそばに少ないランでボールを止めたいときに力を発揮するのだ。

 石川は、これまでPWの下に50度と58.5度の2本を入れていた。ロフトの間隔がかなり開いていて、これはプロでも珍しいケースだが、卓越した58.5度の技術で様々な球筋を打ち分けていた。今年からその下に64度を加えたというわけだ。58.5度では対応できない、難しい状況に何度も遭遇したことは想像に難くない。

 かつては、横峯さくらが全英女子オープンで70度のウェッジを使用したことが話題になった。扱いは難しいが、プロにとってはピンチを凌ぐためのお助けクラブになっているとも言えるだろう。タイガー・ウッズやフィル・ミケルソンはこうしたウェッジで何度もスーパープレーを見せてきたし、最近ではジョーダン・スピースが、ボールを止めたいときにバウンス角4度の60度ウェッジで、勢いを抑えた巧みなアプローチを見せている。

 レッスンプロの多くは、その難しさから60度以上のウェッジをすすめないだろうが、一般的なアマチュアでもバッグに入れてみるのは面白いと思う。成功率は低くなるが、難しいピンサイドからのアプローチを果敢に攻めて、ピタッとピンに絡めば気分がいい。プロが使用するハイロフトウェッジは、ミーハー心をくすぐるとともに、そんなチャレンジ精神を呼び起こしてくれるクラブになるはずだ。

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