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“ゴルフの科学者”デシャンボーを支える ボールの「均一性」

text by kazuhiro koyama

配信日時:2017年7月21日 14時40分

プロ転向1年でPGAツアー初優勝。順調に見えるデシャンボーも、陰では苦労していた(写真:Getty Images)
プロ転向1年でPGAツアー初優勝。順調に見えるデシャンボーも、陰では苦労していた(写真:Getty Images)

“科学者”デシャンボーが、PGAツアー初優勝!

 日本でもおなじみの“ゴルフの科学者”こと、ブライソン・デシャンボーが、ジョンディア・クラシックでPGAツアー初優勝を果たした。プロ転向後、1年あまりでの勝利は、一見順調にも見えるが、その内実はそれほど平坦ではなかった。

 デシャンボーといえば、もはや代名詞となっている、ワンレングスアイアンの使い手。ロングアイアンからPWまではもちろん、ウェッジ類まで同じ37.5インチで使用している。これは、6番アイアンに相当する長さだ。
 プロになる際にコブラとクラブ契約し、これまで使用していたアイアンから、新たに同社で開発したワンレングスアイアンにスイッチした。ゴルフファンには、老舗のクラブメーカーとして知られる同社だが、おそらくワンレングスアイアンの製作は初めての試みだったろう。

 この一年、デシャンボーがもうひとつ結果を出しきれなかったのは、クラブのフィッティングが難しかったことも一因のはずだ。その証拠に彼は、クラブのスペックを短期間で幾度も変更している。今回優勝したアイアンは、マスターズを制したセルヒオ・ガルシアも愛用する、日本シャフトの『NS PRO MODUS3 TOUR130』だ。手元側の剛性感が強く、スピン量を軽減するこのシャフトが、デシャンボーのワンレングスアイアンにハマったようだ。

信頼できるボールだから、"科学者"は試行錯誤できる

デシャンボーが復活させたサイドサドルスタイル。“ゴルフの科学者”らしい、奇抜なスタイルだ(写真:Getty Images)

デシャンボーが復活させたサイドサドルスタイル。“ゴルフの科学者”らしい、奇抜なスタイルだ(写真:Getty Images)

 パッティングは昨年末から、カップに正対して、身体の右サイドでパターを振るサイドサドルスタイルを取り入れた。往年のサム・スニードが考案したというこのスタイルを現代に蘇らせたのは、さすがデシャンボーといったところだが、USGAから使用するパターの形状にクレームがついてしまい、残念ながら変更を余儀なくされてしまった。

 こうして振り返ると、デシャンボーは、己の理想とするゴルフを求めて、様々な変更を重ねてきた1年だったと言えるだろう。奇抜なスタイルに合わせるため、そのギア選びもセオリー通りとはいかず、当然見る目もシビアになる。
 その中で、デシャンボーが信頼を寄せていたのが、日本メーカーであるブリヂストンのボール、「TOUR B330シリーズ」だ。

 デシャンボー自身が行った、ボールを塩水に浸けるテストで、ブリヂストンのボールが最も均一性が高かったというエピソードは有名な話。もし、クラブスペックを頻繁に変えるだけでなく、ボールまでもコロコロと変えてしまっては、デシャンボーのゴルフはバラバラになってしまっていたかもしれない。ボールの均一性の高さが、微細なクラブ調整の連続を可能にし、デシャンボーの技術を支えていたのだ。

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