“科学者”デシャンボーが、PGAツアー初優勝!
デシャンボーといえば、もはや代名詞となっている、ワンレングスアイアンの使い手。ロングアイアンからPWまではもちろん、ウェッジ類まで同じ37.5インチで使用している。これは、6番アイアンに相当する長さだ。
プロになる際にコブラとクラブ契約し、これまで使用していたアイアンから、新たに同社で開発したワンレングスアイアンにスイッチした。ゴルフファンには、老舗のクラブメーカーとして知られる同社だが、おそらくワンレングスアイアンの製作は初めての試みだったろう。
この一年、デシャンボーがもうひとつ結果を出しきれなかったのは、クラブのフィッティングが難しかったことも一因のはずだ。その証拠に彼は、クラブのスペックを短期間で幾度も変更している。今回優勝したアイアンは、マスターズを制したセルヒオ・ガルシアも愛用する、日本シャフトの『NS PRO MODUS3 TOUR130』だ。手元側の剛性感が強く、スピン量を軽減するこのシャフトが、デシャンボーのワンレングスアイアンにハマったようだ。
信頼できるボールだから、"科学者"は試行錯誤できる
こうして振り返ると、デシャンボーは、己の理想とするゴルフを求めて、様々な変更を重ねてきた1年だったと言えるだろう。奇抜なスタイルに合わせるため、そのギア選びもセオリー通りとはいかず、当然見る目もシビアになる。
その中で、デシャンボーが信頼を寄せていたのが、日本メーカーであるブリヂストンのボール、「TOUR B330シリーズ」だ。
デシャンボー自身が行った、ボールを塩水に浸けるテストで、ブリヂストンのボールが最も均一性が高かったというエピソードは有名な話。もし、クラブスペックを頻繁に変えるだけでなく、ボールまでもコロコロと変えてしまっては、デシャンボーのゴルフはバラバラになってしまっていたかもしれない。ボールの均一性の高さが、微細なクラブ調整の連続を可能にし、デシャンボーの技術を支えていたのだ。