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プロギア『RS-F』販売停止に見るルールの功罪【後編】

text by kazuhiro koyama

配信日時:2017年1月5日 18時30分

発売前に掲載される「適合ドライバーリスト」

 R&Aについて、腹に据えかねていることがもうひとつある。

 それは、発売前のメーカーの新製品を「適合ドライバーヘッドリスト」に掲載し、公開することだ。その結果、製品情報が発表される前にクラブの形状や名称などをゴルファーが知るところとなり、ネットを通じて、その情報が世界中に拡散される。メーカーのティーザー広告が流れ、メディアが情報解禁まで口をつぐんでいても、ファンはすでに新製品について、多くのことを知っていることになる。

 これはメーカーだけの問題ではない。ゴルファーもまた、本来存在するはずの新しいクラブへの期待感を少なからず奪われているのだ。例えば、スティーブ・ジョブズが、アップルの新しいプロダクトを発表するとして、それ以前に情報を事前拡散することを許すだろうか。そんなことはありえないはずだ。

 適合リストに掲載されることで、メーカーは情報をコントロールできない。それは、ゴルファーが期待感を醸成する機会を奪い、発売する頃には、クラブへのワクワク感が失われる結果になる。このことは、メーカーはもちろん、ゴルファーにとっても大いなる不利益ではないかと思う。R&Aの「適合リスト」をソースとした情報拡散は、メーカーにとってほとんど営業妨害に等しい影響がある。

 現状は、必ずしも合理的でない対策に、クラブメーカーや一般ゴルファーが振り回されているように見える。ここ数年、ゴルフクラブの販売数は、世界的に大きく落ち込んでいる。ゴルファーの期待感に、クラブが応えられていないのだ。その要因の一端は、R&Aにもあるのではないだろうか。理不尽にも思える今回のプロギア『RS-F』ドライバーの出来事で、改めて、現代の事情に即した、健全な用具ルールを整備する必要を感じた。

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