飛距離を制限するならクラブよりもボール
クラブの制限がこれだけ喧しいのに、近年、ボールの制限の話が聞かれないのは不思議な事だと思う。かつてジャック・ニクラウスが、飛距離が半分近く落ちる「ケイマンボール」というボールを推奨したことがあるが、飛距離を落としたいなら、いの一番に考えるべき事柄だと思う。そもそも近年の飛距離アップは、ボールによる貢献が非常に大きいからだ。
個人的には、ボールの規制ももちろん反対だ。一般ゴルファーからますます飛距離を奪ってしまう結果になるだろう。現在、市場では、ルール不適合をうたった高反発ボールが登場し、驚くほどの売上になっている。プロギアも昨年、高反発の『SUPER eggドライバー』がヒット商品となったが、ルールが厳しく規制されるほど、かえってこうしたルール違反をうたった製品が、数多く市場に出回ることになる。それはR&Aにとっては困った事態だろう。
現実的には、プロゴルファーに対してのみのルールをより厳格化し、トーナメント毎に、使用クラブをチェックするのが良いのではないかと思う。世界で、プロもアマもなく統一したルールでプレーできる素晴らしさは理解できるが、現実問題として、ルール規制はゴルファーを必ずしも幸福にしていないと感じてしまう。ほとんどのアマチュアゴルファーは、ルールを厳密に運用しているわけではないし、むしろ、道具やルールによって、楽しみが増えることもあるのではないかと思う。それはゴルフ界にとっても悪い話ではないはずだ。