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プロギア『RS-F』販売停止に見るルールの功罪【後編】

text by kazuhiro koyama

配信日時:2017年1月5日 18時30分

飛距離を制限するならクラブよりもボール

帝王ジャック・二クラスもボールの進化に警鐘を鳴らしてきた(GettyImages)

帝王ジャック・二クラスもボールの進化に警鐘を鳴らしてきた(GettyImages)

 ゴルフというスポーツのゲーム性を確保するため、どうしても飛距離を落としたいのであれば、クラブではなくボールに制限を課すのが現実的だろう。それは比較的簡単でもあって、現在、1.62オンス(45.93g)以下と定められているボールの重量を少し軽くすれば良いだけだ。重量が減ると慣性が小さくなり、ボールは飛ばなくなる。2g軽くなると「相当の効果が見込める。日本人ゴルファーが世界で勝つチャンスも出てくる」と、あるトッププロからも聞いたことがある。

 クラブの制限がこれだけ喧しいのに、近年、ボールの制限の話が聞かれないのは不思議な事だと思う。かつてジャック・ニクラウスが、飛距離が半分近く落ちる「ケイマンボール」というボールを推奨したことがあるが、飛距離を落としたいなら、いの一番に考えるべき事柄だと思う。そもそも近年の飛距離アップは、ボールによる貢献が非常に大きいからだ。

 個人的には、ボールの規制ももちろん反対だ。一般ゴルファーからますます飛距離を奪ってしまう結果になるだろう。現在、市場では、ルール不適合をうたった高反発ボールが登場し、驚くほどの売上になっている。プロギアも昨年、高反発の『SUPER eggドライバー』がヒット商品となったが、ルールが厳しく規制されるほど、かえってこうしたルール違反をうたった製品が、数多く市場に出回ることになる。それはR&Aにとっては困った事態だろう。

 現実的には、プロゴルファーに対してのみのルールをより厳格化し、トーナメント毎に、使用クラブをチェックするのが良いのではないかと思う。世界で、プロもアマもなく統一したルールでプレーできる素晴らしさは理解できるが、現実問題として、ルール規制はゴルファーを必ずしも幸福にしていないと感じてしまう。ほとんどのアマチュアゴルファーは、ルールを厳密に運用しているわけではないし、むしろ、道具やルールによって、楽しみが増えることもあるのではないかと思う。それはゴルフ界にとっても悪い話ではないはずだ。

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