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プロギア『RS-F』販売停止に見るルールの功罪【後編】

text by kazuhiro koyama

配信日時:2017年1月5日 18時30分

R&Aが検討する、クラブ長の規制とは?

48インチの長尺ドライバーを使うカナダのブルック・ヘンダーソン。長尺効果でヘッドスピードが約2m/s上がったというが、プロでもかなり異質な存在(GettyImages)

48インチの長尺ドライバーを使うカナダのブルック・ヘンダーソン。長尺効果でヘッドスピードが約2m/s上がったというが、プロでもかなり異質な存在(GettyImages)

 このクラブ長の変更案には、2つの疑問がある。ひとつは規制の対象となりうる46.5インチから48インチのドライバーを使っているゴルファーが、プロ・アマ問わず、ほとんどいないことだ。R&Aのデータでは、こうしたシャフトの長いドライバーを使っているのは、プロの1.1%、アマチュアの2.1%に過ぎない。たったこれだけの使用者で、ルール変更後に、R&Aが望むような飛距離を制限する成果が得られるだろうか。

 ふたつめは、仮に48インチにしたところで、飛距離が伸びるかは疑わしいということだ。経験のあるゴルファーであれば、48インチのドライバーを振り回して、大きく飛距離アップするイメージが沸く人はまずいないだろう。R&Aの研究では、46.5インチから48インチにシャフト長を伸ばすと、6ヤードほど飛距離が伸びる結果になったというが、クラブ長を伸ばしても同等のミート率が維持できると考えているのだろうか。

 ゴルフは、ミスヒットしたり、ボールが曲がってしまえば、ゲームを進める上で、著しく不利になるスポーツだ。シャフトを伸ばすということは、それだけゲームを難しくする要因を抱えることになる。たまたま当たった6ヤードの飛距離アップなど、メリットにならない。まして、シャフトは振り切れないとヘッドスピードは上がらない。長くしたところできちんと振り切れるゴルファーは少数派なのだ。まるで、お腹が痛いのに頭痛薬を処方されるような、いかにも居心地の悪い変更案だと感じる。

 以前にも慣性モーメントの制限(5900g平方cm以内)、ヘッド体積の制限(460cc以内)が施行されたが、これも大きければ有利というものではなく、同時に振りにくさなどのデメリットが生まれるものだが、その点は考慮されていないようだ。本来の目的とは離れた、実勢にそぐわないルールが今回も提案されている。こうした規制が行われても、プロの飛距離は今後も伸び続けるだろう。

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