ALBA Net  ゴルフ
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最新のBOAフィットシステムが生み出される 秘密基地「パフォーマンスフィットラボ」の正体

文/高橋真之介 撮影/小林孝至(静物)

配信日時:2021年7月1日 12時00分

パフォーマンスフィットラボのスペースは250平方メートル
パフォーマンスフィットラボのスペースは250平方メートル
最新のBOAフィットシステムが搭載されたアディダスゴルフ〈ZG21 BOA〉とフットジョイ〈ハイパーフレックス BOA〉

最新のBOAフィットシステムが搭載されたアディダスゴルフ〈ZG21 BOA〉とフットジョイ〈ハイパーフレックス BOA〉

ゴルファーなら一度はBOAフィットシステム搭載のシューズを履いたことがあるだろう。その類稀なる、革新的な構造はアメリカ・コロラド州デンバーにあるBOAテクノロジー社内「パフォーマンスフィットラボ」という施設での研究が大きな役割を担っている。シニアディレクターのブレット・ブラディカ氏、生体力学研究エンジニアのダン・フィーニー博士の二人にパフォーマンスフィットラボでの研究について、そして今後の展望についてきいてみた。


BOAフィットシステムのテクノロジーを詳しく知りたい方はこちら
BOAFIT.com

BOAの進化に欠かせない、パフォーマンスフィットラボの役割

「パフォーマンスフィットラボでの研究におけるソリューションがもたらすメリットは大きいでしょう」(ブラディカ氏)
「『敏捷性とスピード』『持久性と健康』、そして『パワーと精度』の3つのテーマを研究しています」(フィーニー博士)
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「パフォーマンスフィットラボでの研究におけるソリューションがもたらすメリットは大きいでしょう」(ブラディカ氏)
BOAフィットシステムの研究はパフォーマンスフィットラボというハイテクを駆使した施設でさまざまなテストを繰り返し、その科学的な根拠に基づき、プロダクトに結びつけている。そのキーパーソンの一人、ブレット・ブラディカ氏がパフォーマンスフィットラボの設立理由についてこう語る。

「パフォーマンスフィットラボは、ソリューションの定義、開発、および検証するための重要な施設。実際、シューズのアッパー形状がアスリートのパフォーマンスにどのように影響するかを研究している機関はほとんどないでしょう。優れたフィッティングとそれによってパフォーマンスを向上させるソリューションを推進するには、生体力学によってそれらを検証しフィードバックする、パフォーマンスフィットラボの設立は必要なステップでした」(ブラディカ氏)

さまざまなアッパー構造とBOAフィットシステムを組み合わせたプロトタイプを作成し、またシューレースタイプも含めて、比較検証調査を行ってきた。その研究成果はゴルフ以外にもトレイルランニングやバドミントン、卓球などさまざまなスポーツカテゴリにおいて、BOAフィットシステムの優位性を生み出している。
4種類のシューズ構造のイメージ図。左から通常のシューレースの構造、従来のBOA搭載構造、BOAトライパネル構造、BOA Yラップ構造
左からトレイルランニング用、バドミントン用、卓球用。あらゆるジャンルのスポーツでもラップ構造を取り入れたBOAフィットシステムが採用されはじめている
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4種類のシューズ構造のイメージ図。左から通常のシューレースの構造、従来のBOA搭載構造、BOAトライパネル構造、BOA Yラップ構造

ゴルフに必要な「パワーと精度」の追求

「プロセスとしては、アスリートが実際にパフォーマンスを実行している際に行う活動と、標準的な動きの分析から始まります」(フィーニー博士)
「プロセスとしては、アスリートが実際にパフォーマンスを実行している際に行う活動と、標準的な動きの分析から始まります」(フィーニー博士)
「プロセスとしては、アスリートが実際にパフォーマンスを実行している際に行う活動と、標準的な動きの分析から始まります」(フィーニー博士)
「プロセスとしては、アスリートが実際にパフォーマンスを実行している際に行う活動と、標準的な動きの分析から始まります」(フィーニー博士)
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「プロセスとしては、アスリートが実際にパフォーマンスを実行している際に行う活動と、標準的な動きの分析から始まります」(フィーニー博士)
研究は、すばやい切り返しや安定した動きに関する「敏捷性とスピード」、エネルギー効率や怪我のしにくさなどに関する「持久性と健康」、そしてパワー伝達やターゲットを狙う的確性に関する「パワーと精度」という3つのテーマにおいて行われている。特にゴルフでは「パワーと精度」が重要視されており、モーションキャプチャを始め、トラックマン、IMU (慣性計測ユニット)、インソールと背部の感圧センサーを備えた試打ブースで、スイングデータを細かく計測。パフォーマンスフィットラボで日々研究を続けているダン・フィーニー博士はその目的について、こう語ってくれた。

「テスターには、主要な関節と身体の部分に32個の反射マーカーを付けます。足下の力、身体の動き、スイング中にゴルファーの体重がどのようにシフトするかを定量化し、弊社の大規模なテストデータベースから、飛距離、精度、再現性の向上に最も強く関連している指標がどれであるか判断していきます」(フィーニー博士)

ちなみに、ハンディキャップ6未満レベルのゴルファーをテスターとして起用することで、データの精度を上げているようだ。こうした地道な努力が、現在のBOAフィットシステムの持つ高性能、クオリティの高さにつながっているのがわかるだろう。

パフォームフィットラップ構造を採用した〈ZG21 BOA〉と〈ハイパーフレックス BOA〉

「BOAフィットシステム」のポテンシャルを現状、最も活かしているのがこの〈ZG21 BOA〉(左)と〈ハイパーフレックス BOA〉(右)

「BOAフィットシステム」のポテンシャルを現状、最も活かしているのがこの〈ZG21 BOA〉(左)と〈ハイパーフレックス BOA〉(右)

足の甲部分を包み込み、足全体をラッピングするようにホールド感を高めてくれるアディダスゴルフ〈ZG21 BOA〉とフットジョイ〈ハイパーフレックス BOA〉。この両モデルが、現在、最もBOAフィットシステム構造とマッチングしているようだ。

「〈ZG21 BOA〉と〈ハイパーフレックス BOA〉に使用されているラップ形状のアッパーを持った構造を、弊社では「Perform Fit Wrap(パフォームフィットラップ)」構造と呼んでいます。このラップ構造は、足の自然な構造を強化するためのバイオミメティックデザイン(生体模倣設計)。これにより、ゴルファーはシューズ内で、思わぬ方向に足がズレてしまうことを心配することなく、安定したスイングをすることができるのです」(フィーニー博士)
これが〈ZG21 BOA〉と〈ハイパーフレックス BOA〉の理にかなったラップ構造
これが〈ZG21 BOA〉と〈ハイパーフレックス BOA〉の理にかなったラップ構造
これが〈ZG21 BOA〉と〈ハイパーフレックス BOA〉の理にかなったラップ構造
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これが〈ZG21 BOA〉と〈ハイパーフレックス BOA〉の理にかなったラップ構造
パフォーマンスフィットラボでは10〜12人のテスターを対象にパイロットテストを行っている

パフォーマンスフィットラボでは10〜12人のテスターを対象にパイロットテストを行っている

もはや日本ではBOAフィットシステムがもたらす、優れた機能や快適性は十分に知られている。とはいえ、いまだシューレース派も根強い米PGAツアーなどのプロゴルファーたちに対して、どのようにアプローチしていくのだろうか?

「ジョン・ラーム、リー・ハオトン、イアン・ポールターなど、過去にBOAフィットシステム搭載シューズを使用し、優勝を手に入れたトップ選手はいますが、まだ少数派。ゴルフには歴史と伝統が染み込んでいるので、ギアの変更には確証が求められます。だからこそ、今後もゴルフにおける BOAフィットシステムの有効性を証明し続けます。それによって、BOAフィットシステム搭載シューズを着用するプロゴルファーが増えることを期待しています」(フィーニー博士)

熱心な研究がもたらす大規模なデータベースの蓄積……パフォーマンスフィットラボがBOAフィットシステムにおけるイノベーションを、今後もどんどん加速させていくはずだ。




BOA | Performance Fit Lab from BOA® Fit System on Vimeo.


※動画画面下の「CC」ボタンをクリックすると日本語字幕が選択できます。

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