ブレード型の操作性とマレット型の寛容性をいいとこ取り!
▶▶▶D・ジョンソンが【青いTP】のシャープなツノ型へ。未発表プロトタイプか
そんな中、D・ジョンソンやT・フリートウッドが【青ロゴのTP】新パターを使いだした。そう『TPコレクション』は『ハイドロブラスト』シリーズへと進化し、最新モデルはやさしさと操作性を兼ね備えた“距離感ピッタリ”のパターがズラリ。そこで、プロもアマも大注目の最新パターの実力検証を追分プロに依頼した。
『TPコレクション ハイドロブラスト JUNO TB1ツアートラスヒール』は、ヘッド形状や重心バランスを『トラスTB-1』と大きく変えていないので、高い操作性はキープ。ブレード型を使っているけど距離感が合わない人や、マレット型や大型マレットを使っているけど、もっと自分の感覚を生かしたい人にピッタリだと感じます」(追分浩一プロ)
これを応用したのがテーラーメイドのパターに搭載された三角ネックというわけ。追分プロも「テニスのラケットも面を正確に支えるために昔から三角ネックになっているし物理的に理にかなっています」と話す。
メリットとして「ミスヒットしてもヘッドがブレない」と言う。ヘッドとシャフト接点が一軸のクランクネックにこれまで疑問は無かったが、「打点がズレた時の衝撃でフェース向きが変わりやすい」と言われると少し心境は変わる。二軸で支える『ツアートラスヒール』の方がブレが小さいことは何となく想像できる。
「ヘッドを二つの軸で支えるツアートラスヒールは、ストローク中にヘッドがネジれにくく、フェースの向きが安定しやすいです。振っていて右手のヒラの動きと同調しながら、スクエアにインパクトできる感じがしますね」。
ロボット検証でも、打点ブレに強かった!
パターのフェース向きをスクエアに合わせてロボットに固定、フェースの中心で打ったときの距離が5mになるように振り幅を設定。打点をトゥ側とヒール側に1センチずつずらして5球ずつ打ち、距離と方向性がどれくらい変わるかを計測してみた。(ボールはTP5)
結果は、上記で一目瞭然。旧作の【赤いTP】こと、『TPコレクション パティーナ JUNO』はクランクネックで左右の方向ズレが9.3cmだったが、新作の【青いTP】こと、『TPコレクション ハイドロブラスト JUNO TB1ツアートラスヒール』だと、4.8cmに激減していた。追分プロは「1センチの打点ズレでもカップインが狙える」と驚く。
「クランクネックはトゥ側もヒール側も距離のズレが10cm以上なのに対し、『ツアートラスヒール』はどちらも10センチ以下と安定していました。方向のズレも5cm以下で、打点が仮に1cmほど外れても十分にカップインが狙えることになりますね」(追分プロ)
新『ツアートラスヒール』✕マレット型で、更にやさしく繊細なタッチを両立!
まず、新しい『ツアートラスヒール 』のマレット型は「旧『トラス』パターの寛容性はそのままに明らかに操作性の高さが向上しています」と話す追分プロ。
ロボットテストでは、ブレード型よりも距離と方向のズレが減少しました。さらなるやさしさと繊細なタッチを両立し、プロからアマチュアまで幅広いゴルファーが使えるパターになってますよ。細かな点では、新作は三角ネックの幅が1cmほど狭くなり、構えた時の視界も広い。『ツアートラスヒール』は、旧作よりもブレード部分が長く見えるのでスクエアに構えやすい。当然、打点エリアも広く見えるので、構えた時の安心感も段違いですね」(追分)
『TPコレクション ハイドロブラスト』8機種のうち、トラスが多数派に!
【ハイドロブラスト】とは、テーラーメイドが数年がかりで開発した、高圧の水を吹き付けて研磨する高級感ある光沢シルバー仕上げのこと。クランクネック・ブレードに『SOTO』と幅広の『DEL MONTE』の2種類を用意し、マレット型にはシングルベンドの『DUPAGE』。それ以外の5種類がトラスと、ラインナップの内訳的に多数派となった。
また、トラスセンターネックのブレード型『JUNO TB2』については、「ストロークのスピードや軌道を自由にコントロールできるブレード型。トラス構造の三角ネックがヘッドのネジレを抑えて、多少のミスヒットをカバーしてくれます」と話す。
TPコレクションの仲間入りをはたし、ラインナップを増やした『トラスネック』。旧作は稲見萌寧の活躍もあり、早々に売り切れてしまったが、今度は自分に最適なものを選べる上、シルバーでカッコ良さも増している。仲間には言わなくとも、内心「今度こそ、手に入れたい!」と狙っているゴルファーは多いだろう。2021年夏「トラス争奪戦」が再び起きそうな気配が漂っている。
取材協力・武蔵丘ゴルフコース
撮影・山代厚男、鈴木祥、GettyImages
文・苔縄和裕