PGAツアー選手に、もし契約が無かったら?
ALBA.Netは2016年前後から契約プロのみならず、こういった「契約に縛られず、自由に合うものを選べる」契約フリー選手の動向に注目してきた。我々アマチュアと同じで、それが一番の性能評価だと思う。ちょうど2016年のナイキのクラブ・ボール撤退を機に、大物プロたちも契約フリーで戦うケースが激増していた。
ここから急激に世界でプレゼンスを増したのが、ミズノである。ブルックス・ケプカが同社の『JPX900ツアー』を選び、メジャーで勝ちまくったのも記憶に新しいだろう。そのケプカは、直近でスリクソン『ZX-7』アイアンへ移行したが、ミズノのプレゼンスは失われるどころか、ますます増している。
これは5年ほど前に米国ゴルフワールド誌が調査した「契約が無関係ならどのアイアンを選ぶ?」の問いに、PGAツアーの実に36%もの選手が「ミズノを選ぶ」と応えたアンケート結果と符号する。ある種、当然そうなるべき結果に落ち着いただけに過ぎない。
ただ、軟鉄鍛造アイアン信仰も同時に崩壊…
軟鉄鍛造=ミズノ、ミズノ=軟鉄鍛造。築き上げた昔からの信頼があるとはいえ、海外勢のアプデの波に飲み込まれ、時代の要請に応える必要がある。そこで生まれたのが、クロモリフォージド、クロモリフェースを軸にする『JPX921』シリーズである。昔を知る人は、このアプデで「ミズノらしさは失われたのか?」と懸念しがちだが、結果は真逆となった。
さらに『JPX921』シリーズは多くの契約フリーの選手が投入をしている。そのプロたちの声と使用クラブが下記だ。
「今までJPXのイメージはヘッドが大きいというイメージでした。なので今までずっと『Mizuno Pro』を使っていましたが、この『JPX 921ツアー』はいい意味で今までのイメージと違ってやさしくて、球がががりやすく、とても打ちやすいです!」
藤田さいき (JPX921 FORGED 6I〜PW)
「初めてミズノのアイアンを使いました。顔、打感、操作性の良さに驚きました!」
イ・ミニョン (JPX921 TOUR 5I〜PW)
「ミズノのアイアン、最高です!打感、操作性も良くとても使いやすく、なんの違和感もなく『JPX 921ツアー』にチェンジできました!」
契約有無に関わらず、いいものを選ぶだけ
「契約の有無に関係なく、ほとんどのプロは打感、操作性、顔の良さで選んでくれています。ミズノのアイアンは【難しい】イメージを持たれがちですが、実際『JPX921』シリーズを試してもらうと打ちやすさや操作性の良さを実感してもらえるはず。今回『JPX921フォージド』が軟鉄から【クロモリ】へ素材が変わりましたが、変わらぬ打感の良さと操作性の良さで選んでくれますね。契約フリー選手から選ばれることは、性能の証明ということで光栄なこと。これまで同様、選手の要望に応え続けます」(同社、ツアー担当者)
以前から、契約フリー選手のギアを見てきた筒康博、元ツアーレップで穴井詩のアイアンを仕上げていた片岡裕次も以下のように話す。
「(穴井)詩ちゃんのアイアン選びは、本当にシビアでした。全く同じモデルを作っても、職人の研磨で微細な個体差が出ますよね? 彼女に合うモデル自体が少ないのに、例えば5、6セット作って合格するのは選りすぐりのエースだけ。ヘッドだけでも大変なのに、シャフトも加わると本当に納得するセットを作るのは至難の業です。彼女が求めるレベルには、何百万ものコストと時間がかかるのが普通で、自分の苦労を振り返ると、ミズノさんが今やってることの凄さを感じます」(元ツアーレップの片岡裕次)
PGAツアー担当者が明かす、評価の本質
「使用に至った経緯は、【複数メーカーのアイアンをテストした結果、ミズノのパフォーマンスがベストだった】と彼のマネージャーから聞きました。ターフの取れ具合、スピンコントロール、飛び出し角度、アイアンに必要な要素全てのパフォーマンスが良かったんだと思います。PGAツアー選手に限ったことではないですが、【1】見た目、【2】ソール形状、【3】打球音の3つがアイアン選びで重要なのは言うまでもありません。
▶▶▶【超マニアック】なミズノのアイアンだけ、他社と違う部分◀◀◀
【3】の打球音は、まだまだ奥が深いと感じます。必要最低限の要素ではありますが、音は非常に重要だと思いますね。アイアン選びについて総じて言えることは、性能も求めながらも【経験、予測と異なる打球】が出ることは、ピンを狙うクラブでは致命的かと考えます。これら3つが揃った上でも、ピンを狙えないものは弾かれてしまうのです」(ミズノPGAツアー担当者)
契約フリーの選手たちが、なぜミズノのアイアンを選ぶのか? 我々のスコアアップの近道も、ここに隠れているのかもしれない……。飛ぶドライバーばかりを探し、あれじゃない、これじゃないと右往左往してきた自分をいたく反省した……。(スコアを目指すなら、ベストアイアンを!)
Text/Mikiro Nagaoka