ギアトピ【1】 原英莉花は新作入れると勝つ!?新ジンクスでメジャー連覇達成
ご存知、2試合とも契約するミズノの商品を新たに投入した週に優勝するという離れ業を演じた、ミズノの孝行娘。「メジャー=公式戦」は誰もが獲りたい試合なため、クラブ変更にも慎重を期するのがこれまでの常識だと言える。クラブ変更にはスイングやフィーリング面の調整など時間がかかるからだ。ところが、原は大舞台の2試合ともミズノの新兵器を投入して見事に勝利を飾った。
また、最終戦の「JLPGAツアーチャンピオンシップリコーカップ」では、初優勝時も使っていた『MizunoPro MODEL-E』から雨と全米対策で新作『ST200X』ドライバーへと交換。本来なら調整期間が必要なはずだが、誰もが獲りたいメジャーで「新作を入れて勝つ」新ジンクスが誕生した形。20年、21年と繋がったシーズンで、はたしていくつのメジャー勝利を積み上げるのだろうか。
ギアトピ【2】 新星・笹生優花も師匠譲りの『M5』とジャンボシャフトで2勝!
そんな笹生の気になる使用ギアだが、アイアンは三浦技研と契約するが、ウッド契約はフリー。原英莉花と同じく道具に詳しいジャンボ尾崎に師事し、ジャンボ邸にあった師匠譲りのテーラーメイド『M5』ドライバーに、師匠用のイミドアンドサンズ製のジャンボ尾崎オリジナルプロトタイプシャフトが入ったものをそのまま使用した。
残念ながら、今季はコロナ禍でドライビングディスタンスが計測されていないが、ツアートップクラスの飛びに間違いなし。事実、この試合数の少なさでイーグルを「6個」獲り、古江彩佳と並んで1位に立っている。(昨季のトップは河本結の32試合で10個)原英莉花もミズノのやさしい『ST200X』ドライバー、『JPX921ホットメタル』アイアンに師匠譲りのイミドアンドサンズ製の師匠譲りのシャフトを選んでおり、このシャフトが4勝したことになる。ジャンボ尾崎のギアへの探求心の凄さが浮き彫りになるエピソードだと言えるだろう。
ギアトピ【3】 小祝さくら、上田桃子らが『ツアーロックゴルフ』でカウンターバランスに
今年はそこからさらに【カウンターバランス】が加速する一年だったと言えるだろうか。そう言える一番のポイントは、スポーツTMCがカウンターバランスキット『ツアーロックゴルフ』を男女ツアーに供給し始め、上田桃子、小祝さくら、松森彩夏、吉田優利、永井花奈、成田美寿々、片山晋呉ら複数選手がグリップエンドに装着したこと。
また、上田桃子はパターにも30gを入れ、小祝さくらのパターには60gを装着。2人ともSWにも12gを装着し、ドライバー、SW、パターの“カウンターバランス化”を図ってシーズンを通して好成績を収めていた。
ギアトピ【4】 赤い『ストロークラボ』シャフトの登場もあり、『ホワイトホットOG』人気が加速
今年の夏以降には、従来の黒い『ストロークラボ』シャフトに加え、よりしっかり目のフィーリングな赤い『ストロークラボ』シャフトを投入。このシャフトは20年ぶりの復刻作『ホワイト・ホットOG』で選択可能だが、このパターにも飛びつく選手が夏以降に激増していた。
画像にあるとおり、ツアーロックとは異なり、オデッセイはグリップを入れる前にシャフトに弾丸に似た形のウェイトを入れるため、選手が何gを入れているかは周囲からは分からない。が、最も使用者の多いブランドであるが故、ツアープロの調子を支えるため、目には見えない努力でサポートしていたというわけだ。
ギアトピ【5】 池村寛世がやさしいヘッドに『ツアーAD HD』でかっ飛び!
富士桜CCは標高が高いため飛びやすいとはいえ、アベレージゴルファー向けのテーラーメイド『SIMグローレ』に、グラファイトデザイン『TOUR AD HD』を入れて320ヤードを越すビッグドライブを放っていた。
池村寛世はツアー屈指の飛ばし屋なため、通常ならパワー的に『SIM』のはずだが、グラファイトデザイン『ツアーAD HD』の組み合わせなら、暴れずにぶっ飛ばせる。なぜなら、同シャフトは高MOIヘッドに合う先端剛性を高めた「叩ける弾き系」シャフト。このエネルギー効率のいい最新シャフトに、時松隆光ほか、男子プロ人気が高まりつつある。
また、香妻陣一朗の逆転勝利を決定づけた、『スリクソンZX5』アイアンも、契約フリーの片山晋呉らの使用で話題となったのか、現在、量販店で欠品するほどの人気作となっている。
ギアトピ【6】 デシャンボーの影響か!? 秋のマスターズで突如、長尺1Wブームが!
ただし、道具に詳しい人にとって「あれ、2、3年ほど前には短尺1Wブームが流行ってなかったっけ?」との疑問が生じるのも無理もない。2017、18年前後にはリッキー・ファウラーが43.5インチ、ジミー・ウォーカーが42インチと「ぷち短尺1Wブーム」が起きていた。フジクラも短尺専用の『スピーダーSLK』を出したほどだが、あのブームは一体どこへ!? と思う人もいるだろう。これは一過性のものなのか、はたして長期的なものなのか。
元々46インチだったフィル・ミケルソンはマスターズ後も47.5インチを継続しているし、アダム・スコットも46インチへと長尺化。だが、デシャンボーとDJはマスターズの練習日で長尺をテストした結果、直前回避した。はたして、来る4月の「マスターズ」で、DJは47インチ、デシャンボーは48インチを投入するのか!? ただでさえ飛ばす面々がさらに長尺化して、飛距離戦争がますます加速すると、海外製ドライバーのヘッド重量への影響も今後は気になる展開だ。
ギアトピ【7】 マスターズで使用率1位のタイトリスト『TSi3』。実はMOIもデカかった!
編集部の計測では『TSi2』の左右MOIが「5533g・cm2」、『TSi3』も「4991g・cm2」で、ピンも真っ青な高MOIヘッドへと生まれ変わっていた。これは軽くて初速の出る新チタン素材をフェースに採用したからこそなせる技なのか、タイトリストが「ピン化した」と考えれば、契約フリー選手を含む、多くのPGAツアープロたちが『TSi』シリーズへ移行することも納得できる結果である。
来たる2021年は、コロナ禍は収まるのか。そして、年初に新たなるニューギアの発表がされるのか。引き続き、PGAツアーを中心に、2021年モデルの動向をチェックしていきたい。
Text/Mikiro Nagaoka