パッティングの集中力を保てるデザイン。フィットしていれば重さは関係なし!
「彼とシューズの仕様についてお話をさせてもらった際に一番大きな問題として出てきたのが、“アドレスの視界を邪魔しないデザイン”だったんですね。特にパッティングなどのアドレス時に、シューズの上半分は視界に入ってしまいます。この時に【視界の中で極力邪魔しないデザインにして集中力を保てるものにしてほしい】ということでした。ですから、彼の履くモデルにはデザイン的な装飾を極力排除して、縫い目なども控えています。それに、アシックスのシンボルロゴも、視界に入らないように小さくしてシューズ後方に配置しています」
――先程、松山プロがラバーソールを求めるという話がありましたが、最近PGAツアーでもラバーソールのスパイクレスシューズを履く選手が増えているとか。影響はありますか?
「はい、そういった選手が増える流れだと聞きます。スパイクレスシューズは、一部に樹脂製ソールのものもあるのですが、大半はラバーソールですよね。でも、松山プロは鋲の付いたラバーソールの『GEL-ACE LEGENDMASTER 2』のプロトタイプを使用しています。やはり、グリップ力と安定感の両方が大切なのです」
――よく他のシューズメーカーが“軽さ”をアピールします。疲労軽減という意味で、松山プロからシューズの重さに対する要望は?
「プロ本人から、もっと軽くしろなどの要望は今のところありませんね。誤解しないで欲しいのですが、シューズの重さというのは履いている足が感じるものであって、皆さんゴルフショップの店頭で手に持ったときの重さを判断材料にされますが、これは靴屋としては好ましくないのです。そして、単純に軽いから疲れないというものではありません。きちんとその人の足にフィットしていれば、重さを感じないものなのです。松山プロはシューズにグリップ力や追従性を含むフィット感、何より安定性を求めますから、幅広でやや重めのものを採用しています。もちろん、足にフィットしているので、それが重くて疲れるなどの反応があったことは一度もありません」
以上のように、海外のPGAツアーファンや海外メディアが驚いた【松山の足から鳴き声がした】事件の真相は、松山が追い求める究極のシューズを形にした結果、強烈な摩擦が生まれているからだと判明した。いったいどれだけ地面を捕まえるつもりなのか、松山のバケモノエピソードとして多くの人に知ってもらいたい事実である。
余談だが、筆者も体重が重いため、芝との摩擦が人より多いタイプであり(泣)、扁平足に加えてその場で鋭く回転するタイプでもある。もっと早く、このネタに気づいていれば……。ラバーソールに幅広ソール、『GEL-ACE LEGENDMASTER 2』ね、メモメモ。もちろん、試履きしてフィッティングしてから購入しますよ!
Text/Mikiro Nagaoka