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【バケモノたちの使用ギア】松山英樹の足元から謎の“キュッ”という鳴き声が。あの音は何だったの?

PGAツアーデータ・ドリブンシリーズとして、さまざまな公式データからギアとバケモノの相関関係をひも解いていく企画。今回は、海外ファンも驚いた世界のマツヤマが発する“音”について。

配信日時:2017年7月7日 09時13分

“鳴き声”の正体は強烈な摩擦音。でも、現在は既に解決済みだった!

アシックスのゴルフ事業戦略チーム、森岡直樹氏に詳しく話を伺った。

――松山選手の足元から発する“鳴き声”の正体は?
「あの音はラバーソールのシューズと、水分を含んだ粘り気の多い洋芝との摩擦音です。ただし、動画が公開されたのは2年前ですし、その後ソールに改良を加えたため、現在は鳴き声が鳴らないようにしてあります」

――音が鳴るのは松山プロ特有のものなはずです。他の選手でそういったことが話題にはならないので。なぜ鳴ったのでしょう?
「これには、松山プロのシューズに対する要望をしっかり語る必要があります。まず、第一に彼がシューズに対して求めるのは“安定感”なんですね。そのため、市販品とは違い、横幅が広がるような形でソールの面積を出来る限り広くしています。また、ゴルフシューズには樹脂ソールとラバーソールの主に2種類があるのですが、松山プロはラバーソールを採用しています。こちらのほうが屈曲性が高くて足裏に対する追従性がいいのです。摩擦の高いラバーソールで、ソール面積が広がっているため、基本的に摩擦力が高くなる条件が揃っていたと言えるでしょう」
幅広のラバーソールで摩擦の多い状態から、高速で回転!そりゃ、音もなるでしょ……(撮影・岩本芳弘)

幅広のラバーソールで摩擦の多い状態から、高速で回転!そりゃ、音もなるでしょ……(撮影・岩本芳弘)

――音が鳴ったのは、松山プロのスイング的な特徴を挙げる声もありますが。
「はい。ご存知のとおり、松山プロのパワフルなスイングももちろん関係しているはずです。プロゴルファーのスイングタイプによって、足裏をすぐに跳ね上げるタイプもいますし、彼のようにものすごく粘らせるタイプもいます。日本の芝質よりはるかに水分を含んで粘り気のある洋芝で、地面に押し付けるように足を使って高速に回転する松山プロは、先程言ったようなシューズの特性から強烈な摩擦音を生み出したのでしょう。でも、他にも要因があります。

――足を粘らせるスイングと摩擦しやすいシューズ以外にも要因があると。
「はい、それはPGAツアーの集音マイクです。ショットの迫力を増幅させる集音マイクが地面にあるため、あの摩擦音を実際よりはるかに大きな音に増幅させてしまうんです。実際、音が鳴っていた当時でもプロ本人はそのことを問題だと我々に伝えてきませんでしたから。自分の耳と足元で鳴っている音は少し距離がありますし、プロ本人から直接指摘があったわけではありません。ただし、そこは我々エンジニアたちが問題として解消に動きました」

――ジャンボ尾崎プロは、その昔、ブカブカの状態で足とシューズの摩擦音を出したとの逸話がありますが。
「当社のシューフィッティングでは、靴の中で足がズレると良くないと考えています。もちろん、松山プロは幅広でソール面積の広いものを安定性重視で使用していますが、18ホールの歩行による疲労や、スイングにおいてもカカトを中心としたピッタリサイズに勝るものはないと考えます。松山プロも足裏に追従性のいい屈曲性の高いラバーソールと、足にピッタリフィットする柔らかいアッパー素材を使用します。ジャンボ尾崎プロの件については分かりませんが、少なくとも松山プロはそうしています」

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