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巧みに計算された“ルーズ感”
「(トラヴィスマシューは)パンツのウエストの設定寸を、少しユルい感じにしています。だから、きっちりとウエストで穿く場合はシャツの裾をパンツに入れて、ベルトを締めれば大丈夫。また、タウンユースやカジュアルなゴルフの時には、ちょっとウエスト位置を落としても穿けます。足が短く見えないように股ぐりの部分も作っています」(西岡氏)
ウエアにおけるサイズ感やフィット感を、特に大事にする石川にとって、トラヴィスマシューの、この西岡氏の意図的に計算されたデザインパターンは興味深いものだったらしい。
確かに、きっちり感と適度なルーズ感を両立できるシルエットのパンツはそうそうない。腰穿きしても、決してダラしない雰囲気にはならないというデザインの妙は、トラヴィスマシューを一度着ればわかるだろう。
ゴルフに必要な“立体感”を作る
「パンツは大きく分けて、真っ直ぐ立った時にきれいに見えるスラックスタイプ、タフで運動量の多いジーンズやワークパンツ系の2つに分かれます。パターンとして、両方の要素を良いバランスで取り入れていくのがゴルフウエア。足を広げたり、屈伸したりといった動作が多く、パンツの後ろ側の運動量がかなり必要になってきます。素材の力も借りながらですが、立体感をいかに作っていくか。このことを頭に入れながら、パターンを引くようにしているんです」(西岡氏)
見た目もクールで機能性も優れている、というのは当たり前のようでなかなか高いハードルだろう。だが、トラヴィスマシューは持ち前のハイセンスさとデザインコンシャスっぷりで軽々とそれを超えている。西岡氏がパタンナーとしてこだわるポイントに石川も納得の様子だった。
ファッション通の石川ならではのマニアックな目線であるが、パンツのシルエット次第で、その人のスタイルが左右されるかを熟知している発言といえるだろう。そんな石川らしい着眼点に西岡氏は、こう応えた。
「膝下部分を変にスッキリさせると、トラヴィスマシューの空気感をつくり出すのが難しいんです。ウエアのゆとりとは、人間の身体とウェアの間に空気を入れるということ。そこに、いかにトラヴィスマシューらしい空気を入れていくか。そんなことを考えながら作っています」(西岡氏)
ファッションの着こなしについて、ここまで追求している日本のプロゴルファーは石川 遼の他にはいないだろう。今回の西岡氏との対談から、石川の知られざる一面が垣間見られたのではないだろうか。
次回は、石川遼の「最新トラヴィスマシュー・スタイル」に迫ります!
PROFILE
西岡吉紀(にしおか・よしき)
1980年生まれ、奈良県出身。大学在学中に並行してファッションの専門学校に通い、大学卒業後、パタンナーに。現在はフリーランスとして、トラヴィスマシューをはじめ、さまざまなブランドのパターン製作に携わる。