DJのアッパー軌道の秘密は、「ツアーで最も左にあるボール位置と体を激しく倒すこと」(長田プロ)
「MAT-Tのスイングデータ登録日がいつかは不明ですが、ここに入っているデータではダスティン・ジョンソン選手のボール位置は、ツアーでも最も左にあるといっていいほど、左なんですよ。これが彼の特殊なところで、登録されている6番アイアンなども通常の選手と比較してもかなり左寄りにあります。
これは、彼のスイングの最大の特徴である、左手甲を折るトップとつながってくるはずです。彼は、トップで激しく左手甲を手のひら側に折り、その形を変えないままでインパクトまで持ってきます。そのため、インパクトで通常の選手なら左手甲が左股関節の前辺りにくるところが、体の外側にまで外れて超ハンドファーストなインパクトを作ります。
この特殊な手首の使い方だと超ダウンブローになるのですが、ボール位置をかなり左寄りに置くことで、入射角をアッパーに調整しています。試しに、同じアッパー軌道のジェイソン・デイ選手と比較してみましたが、ボール位置はボール3つ分以上デイ選手よりも左にありますね。デイ選手が左カカト線上のボール位置で、左股関節の前に手元がくるオーソドックスなタイプなだけに、いかにDJのスイングが特殊かよく分かります
しかも、インパクトで体をものすごく後ろに倒すタイプの選手でもあります。左にあるボールを頭を右に倒しながら体の軸を他の選手よりも倒すことで、アッパー軌道を作っているのです。こんなに体を倒すにはかなり強靭な筋力が必要です。スイングの登録日は不明ですが、MAT-Tのデータでは明らかですよ」(長田高明プロ)
この話しを聞いて、改めて他の連続写真を探してみることにした。というのも、ゴルフカメラマンは基本的に撮影アングルを一瞬で調整してしまうことが多く、たとえ左にボールがあっても、いつもの光景(左カカト線上)に入るように角度を調整してしまうこともあるからだ。
長田プロが『MAT-T』で提示したDJのスイングは、5.54度のアッパー軌道だったが、昔の画像を見ると、2010年前後のDJは体の倒し方が多く、ボールの出球が高く打ち出されている。そのため、MAT-Tに登録されたスイングデータ自体がこの時代のものではないかと筆者は疑っている。昨年の画像ではそこまでボール位置が左ではないからだ。