堀川だけじゃない。『TOUR B X』ドライバーに一気に反応!
宮里優作は「フジサンケイクラシック」の試合前にこう話していた。
「新しいもので行きます。キャリーが10ヤードくらい変わっているので、ずっと小さいドライバー使っていたんですけど、その振り感で大きくなった感じ。ヘッドの大きさはまったく違う。テスト段階では去年のフェニックス。ちょうどクラブテストをやっていて、その時から新ドライバーの結果が良かったです。
普段のプライベートで回っても良かった。ちょうど福岡で3日間試合をやった時にも良かった。曲がらないし飛んでるし。欧州でドライバーイップス気味になって帰ってきたので、それに比べると全然違う。このドライバーにして気持ちよく振れるようになりましたね」(宮里優作)
数多のツアープロの中でも、かなり小ぶりなプロトタイプドライバーを使用してきた宮里優作でさえ、この反応だ。しかも、クラブ契約フリーで、基本的に、海外ブランドから日本のメーカーでも、どのメーカーのものでも自由に選べる立場でもある。
新世代の若手を中心に選ばれる、操作性+安定性
操作性のいいドライバーで育った人にとって、昨今の【高MOI】ドライバーは、慣れた振り感からのアジャストを強く強いるものとなる。これまでの感覚で振ると、プレインパクトで「遅れる」「もたつく」と感じ、無意識に反射が入る。さすれば、一旦ターンさせようとした高MOIヘッドは左へガバっと一気に動いてしまうのだ。
この高MOIの弊害を見抜いていたBSは、敢えて数字を抑えた。「操作できる範囲内で、安定性を高める」、この考え方が多くのプロゴルファーだけでなく、アマチュアゴルファーをも救うのだろう。加えて、5つの可変ウェイトポジションで、振り感・ターン感を整えることもできるため、多くのBS育ちのプロにとって強力な武器となった。
元々460ccの大型ヘッドでゴルフを始めた若手プロはもちろん、小型ドライバーで育った中堅・ベテラン選手以上も使いやすい。この絶妙な振り感の設計に加え、サスペンションコア、ハニカムストリングなど飛距離を生む最新テクノロジーが入ってくれば、プロは歓迎するに決まっている。そんなことを感じざるを得ない。
ゼロベースの見直しというBSの挑戦、投入した堀川の直感がかみ合う
そして、その1球目が良くても、当然すぐ合格点など出ない。それは練習場での話かもしれないし、練習ラウンドだからいい球が打てただけに過ぎない。そう、全ては「試合で使わないと分からない」。押し潰されるようなプレッシャーや不安に耐え、五感を研ぎ澄ませた極限状態で意のままに球を操れなければ、本当の合格点など出せないのだ。
その意味で、最終日のスタート時に6打差もあったにもかかわらず、優勝だけを見据えて堀川が伸ばしに伸ばせた意味合いは大きい。ビッグチェンジといえる新ドライバーの設計変更も完全に吉と出た。堀川の直感と、BSのニューギアへの挑戦が見事に実を結んだ瞬間だったと言えるだろう。
Text/Mikiro Nagaoka