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【バケモノたちの使用ギア】世界ランク2位の怪。松山英樹の「ミート率」はなぜ低いのか?

PGAツアーデータ・ドリブンシリーズとして、さまざまな公式データからギアとバケモノの相関関係をひも解いていく企画。今回は、前回に引き続いて松山英樹。なぜなら、ミート率が……

配信日時:2017年6月23日 19時42分

ヘッドスピードの速い「球をくっつけるタイプ」はスマッシュファクターが出ない!

「ヒデキはボールをくっつけるタイプです」とタニタクは語る(撮影・岩本芳弘)

「ヒデキはボールをくっつけるタイプです」とタニタクは語る(撮影・岩本芳弘)

――タニタクプロ、谷原秀人プロがスマッシュファクター1位になっていますが、間近で見てどうでしたか?

「え、今タニさん(谷原秀人のこと)がPGAツアーで1位なんですか? あとでメールしてあげよ。でも、見たところ、いつものタニさんという感じで、何も変わってない印象でしたよ。元々タニさんはミート率の高いプレーヤーですからね。それと、ヘッドスピードも関係してくると思いますよ」

――ショッキングな事実ですが、松山英樹プロのスマッシュファクターが、最下位から数えて3番目ですが。これについては?

「うん、そこもヘッドスピードに関連してますよ。スマッシュファクターという数字をどこまで信用するかということなんですが、ヘッドスピードが速い人はスマッシュファクターが低く出がちなんです。トラックマンは。事実、ボク自身もヘッドスピード50〜52m/sくらいですが、ボール初速が出ません。球をインパクトでくっつけるタイプはスマッシュファクターが出ないんですよ」

――球をくっつけるというのは、ボールが柔らかいということ?

「いや、それもあるんですけど、元々ボールに圧力をかけてインパクトで激しく潰すタイプのプレーヤーだということです。パーンと弾いて球をフェースにくっつけないタイプの方がボール初速が出やすくてスマッシュファクターも高い数字が出やすいんです。ヒデキ(松山英樹のこと)もボクも球を潰すというか、くっつけるタイプなんですね。

例えば、高反発ボールとかあるじゃないですか、あれを打ったらボクでもスマッシュファクター1.53とか出るわけですよ。弾いちゃうんで。あとは、ヘッドの入射角やヘッドのロフトや重さなど、いろんなことが選手によって個人差がありますよね。だから、ヒデキのスマッシュファクターが低いからって、芯を外しているとか、そういう見方をするのは間違ってるということです」

――先ほどのヘッドスピードが関連するという話は?

「タニさんは、ヘッドスピード47、8m/sくらいで、そんなに速くないんですよ。ヘッドスピードが遅いほうがボールを潰す量も減るし、スピンもかかりづらくなりますしね。タニさんはそんなにスピン量が多いタイプじゃないでしょ? やっぱり、ヒデキとかヘッドスピードが速くてボールを潰すタイプはスマッシュファクターが出ないんです。だから、そんなところはボクも気にしませんし、ヒデキも全く気にしてないと思いますよ」

――10年前のスマッシュファクター1位は「1.48」だったが、今季は「1.5」を越えています。この背景は?

「やっぱり、ヘッドの反発もボールの反発も良くなってきているでしょ、間違いなく。だから、今のPGAツアーの選手は、みんな信じられないくらい飛びますよ。この間の記事で、ケプカの18番の3Wのティショットのこと書いてたでしょ? あれ、記事には340ヤードって書いてましたけど、実際は370ヤードですからね。今のPGAツアーは本当に信じられないくらい飛びますよ。ケプカもアドレナリン出てたと思うけど」

――18番はランディングが打ち下ろしていた? ライナーでしたが、追い風に乗るとかあるんですかね?

「いや、ライナーだったよね、明らかに。アメリカの報道では320ヤードキャリーしてトータル370ヤードだと言ってたよ、間違いなく。あのホールはフェアウェイに段差があるんだけど、どうだろうね。風も追い風だったとはいえ、異常だよね。ケプカもヒデキもそうだけど、17番は193ヤードを9番アイアンでしょ。ケプカはオーバーして200ヤードくらい飛んでたからね。あのホールは多少打ち下ろしだし、多少追い風だとはいえ、あり得ないよね、ホント」

以上のように、松山英樹のミート率が最下位に近いという件について、トラックマンなどの最新計測器に精通し、日夜データを研究する谷口拓也プロによると、球を潰すタイプが原因とのことだった。謎が解けて筆者は少し安心した。


Text/Mikiro Nagaoka

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