片山晋呉は「松山のダウンスイングは世界一」と絶賛!
そんな中、昨日片山晋呉がALBA.netの取材に対して松山英樹の「何がすごいか?」を具体的に語ってくれた。松山と戦う現役選手であり、09年のマスターズ4位タイと世界を知り、ゴルフ界を引っ張ってきた男だけに、その言葉には重みがある。
「とにかく彼のスイングは素晴らしいの一言。特にダウンスイングでのヘッド軌道が美しいです。例えば、フェードを打つ、ドローを打つなどアドレスから打つ際のクラブのポジションがとにかく世界一だと思います。ダウンスイングで胸が開かずに頭が残っており、左足がめくれない。彼はトレーニングで素晴らしい体幹と筋肉に仕上げており、天才肌の部分はあると思います。
『全米オープン』を見ていましたが、松山選手もそうですが、今の選手は9番アイアンで平気で200ヤードを狙っていました。これはタイガーの全盛時よりもはるかに飛んでいるんですよ。今のPGAツアーは、タイガー・ウッズの全盛時でもなかなか勝つのは難しいレベルだと思いますね。僕らの時代のゴルフとは飛距離もまったく違ってしまい、レベルも全然違う。
タイガーの影響で身体能力の高い選手がゴルフに流れてきた影響が大きいし、競技レベルが違います。その中で戦っている松山選手はやはり別格の存在ですし、世界一も全然近いと思います。本当に期待したいです」(片山晋呉)
技術や経験、対応力は積み上げられても、絶対的なパワーだけはどうしようもない。努力し続けても抗えない“カベ”の存在を痛感するからこその発言だろう。
では、片山の言うことは本当なのだろうか? PGAツアー公式データから、細かい数字を取れるドライバーのデータをひも解いてみたい。(データが残る07年と松山が参戦した近年の推移)
PGAツアーの平均データでは、低スピン+初速アップ+キャリー大幅増!
すると、ボール初速、キャリー、スピン量には大きな変化が。特に片山がメジャーで予選通過していた2007年は、タイガーの第3次全盛期。その10年前よりボール初速で平均3.43マイル(74.02m/s⇒75.51m/s)伸び、キャリーは10.77ヤードアップ。また、平均スピン量は220回転減っている。
ヘッドスピードや打ち出し角にさしたる変化はないが、背景に何があるのか。低スピン化の主因はツアーボールの進化と予想でき、ボール初速への影響もあるだろう。去年から今季にかけて1.7マイルも初速アップしているのは、R&Aのルール改訂によるヘッドの反発性能が上がったことも影響していると思われる。
また()内で示したのは、ボール初速の欄は80m/s以上を記録する人数を示し、キャリーの欄には285ヤード以上の人数を記載した。適正スピンを手に入れた上で初速が上がれば、当然キャリーも伸びる。石川遼や松山英樹ほか、PGAツアー選手の中でこれらの数字がひとつの目安になっており、クリアする者が増えていることは間違いない。片山の目に留まったのは、これらの選手のことではないか。
このように、道具の進化の恩恵を受け、PGAツアー全体が初速アップとドライバーの低スピン化でキャリーを引き伸ばしていることが理解できた。では、本題の松山英樹の進化はどうなっているのだろうか。