「飛ばし屋がもっと飛ばせるズルいボール!」 by ロマン派ゴルフ作家・篠原嗣典
『ゼクシオ エックス ボール』をコースで打った最初の印象は、打音が『ゼクシオ』っぽくないなぁ、でした。音量がやや控えめで、残響が小さく、少し湿った音質です。
飛距離性能はトップクラスで、ドライバーはロースピンを感じさせる高弾道の棒球で飛んでいきます。打ち応えも、かなり柔らかいほうに分類されます。面白いのは、ドライバーからフェアウェイウッド、アイアン、ウェッジまで、柔らかさが同じ感覚で維持されることです。クラブによって打ち応えが変わるほうが好きなゴルファーもいますので、このチューニングは好き嫌いの範囲ですが、同じ感触が続くボールのほうが市場では少数派なので、『ゼクシオ エックス ボール』好きな人にはたまらないボールです。
パットを含むショートゲームは、昔の糸巻きボールを打っているような静かな打音で、好きなゴルファーにはたまらないはずです。
『ゼクシオ エックス ボール』は、飛距離性能に特化している雰囲気はするのですけど、僕のヘッドスピード(40m/秒)では使い切れていない感じもしました。ミドルアイアンで、スピンが思うようにかからないからです。
同伴者のヘッドスピード45m/秒のゴルファーに打ってもらって観察しました。想像を超える結果になりました。ドライバー、アイアン共に、自分が思っている距離より半番手以上飛んでいますし、ショートアイアンではボールもきちんと狙い通りのスピンがかかっていました。友人は、『ゼクシオ エックス ボール』をエースボールにすると、3ホールぐらいで決めていました。理由は飛距離性能とボールの弾道の高さが良い、ということでした。
『ゼクシオ エックス ボール』は、ヘッドスピードが速いゴルファーにオススメです。ウレタンカバーのボールとは少し違いますが、ツアーボールとほぼ変わらない機能を発揮してくれます。
時代は、個別のゴルファーに合わせた用具になっていくのだと予測する賢者が複数います。『ゼクシオ エックス ボール』は、ヘッドスピードが速いゴルファーが、飛ばし屋としてゴルフを楽しむのを更に助けます。正直に書くと、ちょっとズルいんじゃないの? と思いました。
『ゼクシオ エックス ボール』は、その柔らかさより、ショートゲームでの静音性などで感性を刺激する部分で、特別だと思いました。目に見える損得ではなくない部分で、得するするということに興味があるゴルファーは、打ってみることをオススメします。
コメンテータープロフィール
ロマン派ゴルフ作家・ゴルフギアライター。ゴルフショップのバイヤー、広告代理店を経て、現在はゴルフエッセイストとして活躍中。