球が上がってつかまるのは、クラブ選びの絶対条件
関:一般的に“やさしい”とは、「球が上がる」と「球がつかまる」を意味していますよね。
鹿又:ゴルフクラブを選ぶうえでも、いちばん重要視しなければいけないのがその2つの要素なんです。球が上がり、球がつかまることは、クラブ選びの絶対条件です。逆にいうと、使い手にとって球が上がらず、球がつかまらないクラブは、打っている本人も難しいクラブだと感じるはずです。
鶴原:とはいえ、使い手によって、という前提ありきの話ですよね。仮にすごいヘッドスピードの速いフッカーが、球が上がってよくつかまるドライバーを使うと、スピン量が増えて前へ飛ばせないし、左にOBを打ってしまう。そういう人にとって過剰に球が上がってつかまるクラブは、やさしいと感じないでしょう。
関:自分で無理に球をつかまえにいかなくても、球がつかまってくれるのが“やさしい”という表現になるのだと思いますよ。
鹿又:近年では、トッププロが使うアスリート向けのドライバーも、少しずつ球をつかまえやすい性能に寄ってきましたよね。
鶴原:僕もそう思います。だからこそ、アマチュアでもロフト角とシャフトを選べば、アスリートモデルのドライバーを使えるようになってきました。ただし、限界はあります。よくスライスを打ってしまう人だと、やはりアベレージ向けとして開発されているドライバーほうが、まっすぐに遠くへ飛ばしやすい。
関:一般的なアベレージゴルファーにとっては、そういうモデルのほうがラクに飛ばせます。具体的には、ヘッドの重心角を大きく設計して球をつかまえやすくして、なおかつヘッドの重心を深く設計することで球が上がりやすいドライバーです。そういうモデルはメーカー各社が開発していて、もはや市場は飽和状態にあると思います。ゴルファーからすると、もう選び放題ですよ。
スクエア・インパクトしやすいドライバーがやさしい
鶴原:球が上がってつかまるドライバーはたくさんあるけれど、その中から自分が打ったときに芯に当てやすく、スクエアにインパクトできるモデルを選ぶべきということですね。
関:例えば、ヘッドを高慣性モーメント化したドライバーがありますよね。これも一般的には球が曲がりづらく、やさしいと言われているけれど、打ち手によっては球をつかまえづらく、全然やさしくないと感じる人もいるわけです。
鹿又:今、渋野日向子プロの影響もあってピンのドライバーが大人気ですよね。ピンのドライバーは、昔から高慣性モーメント設計が特徴です。オフセンターでヒットしたときにヘッドがブレづらく、曲がりづらい性能と飛距離ロスの少なさでは最上級というぐらいに優れています。けれど、これはあくまでもスクエア・インパクトして、芯を外して打ったときの話なんです。
鶴原:優先すべきなのは、芯を外したときの許容性よりも、スクエアなインパクト。これはいい話ですね(笑)。ピンのドライバーにも3つのヘッドタイプが用意されているし、それぞれヘッドのターンのさせやすさと、球のつかまり度合いが違います。最新モデルの「G410」シリーズでは、ウェイトの配置によって弾道調整ができるようになり、さらにライ角をフラットに調整できるようにもなりました。すべては、スクエア・インパクトのためです。
関:活躍しているプロが使っているクラブをそのまま使用して、すべてのゴルファーが曲げずに飛ばせるとは限りません。少なくとも搭載されている調整機能は、ぜひゴルファーに積極的に使ってもらいたい!