かつてはシャフト先端のしなり量を増やすことで“1発の飛び”を追求した設計も見られたが、最新モデルでは明らかな変化があると、ギアコーチの筒康博は語る。
「剛性分布を見ると、どのメーカーも先端から中間部にかけての剛性を高めていることが共通していました。余分なしなりを抑えて、タイミングの取りやすさを追求したモデルが増えていますね」
ヘッドの性能が上がったことでシャフトに必要な役割が“名脇役”になったと語るのは、ギアマスター・村田辰也だ。
「最新のヘッドは慣性モーメントが高く、インパクト前後の挙動が安定していることが特徴です。それを生かすためには、シャフトも余分なネジレやしなりを取り除いたほうがエネルギー効率が上がって、より初速が出せるようになるのです」
結果として、"曲がらない"を追求したことが、さらなる飛ばしにつながっているのが最新シャフトの特徴といえそうだ。
【三菱ケミカル ディアマナ ZF】計測結果
中〜手元部分にかけての剛性バランスが絶妙で、適度な走りでボールをつかまえていける。クセのない振り心地を多くのゴルファーが体感できる設計。先端剛性がしっかりしているため、叩きにいくことも可能
[TSUTSU's EYE!] 40グラムの軽量帯でも叩いて飛ばせる
『ディアマナZF』には軽量な40グラム台もラインナップしている。「素材の進化で、軽量でも叩けるシャフトに仕上がっています。ネジレを抑えつつも、しなり戻るエネルギーが大きいので、ボール初速を出しやすくなっています」(筒)
【USTマミヤ アッタス ジャック】計測結果
特徴的なのはシャフト中間部の剛性を高めてしなりを抑えていること。先端のしなりが高い打ち出しを、手元のしなりがスイングのためを作ってくれるので、高打ち出し低スピンの強いボールで飛ばせる
[TSUTSU's EYE!] ダブルキックでもタイミングが合う
先端と手元がしなる“ダブルキック”の『アッタス ジャック』だが、しなり過ぎによる振りにくさは全くないと筒。「アッタスらしい個性的な剛性のモデルですが、挙動は落ち着いていて、タイミングが取りやすい。余分なネジレを抑える設計は見事です」(筒)
【グラファイトデザイン TOUR AD XC】計測結果
男子プロに支持される『TOUR AD』らしい方向性を重視したモデル。シャフト全体の剛性は高めつつ、先端にかけてゆるやかに剛性を落としていることが特徴。自然なしなりでボールを弾きつつ、球筋のコントロールもできる
[TSUTSU's EYE!] ヘッドを選ばない万能性があるシャフト
しなり方が自然なシャフトなので、どんなヘッドでもポテンシャルを引き出せることが特徴だ。「トレンドの高慣性モーメントヘッドに合うのはもちろん、浅重心や重心距離の短いものなどフェースターンしやすいヘッドとも好相性。中間〜手元にかけてのしっかり感でボールを押していけます」(筒)
【藤倉コンポジット スピーダー エボリューション6】計測結果
先端よりも中間部をしならせる設計で、『スピーダー』らしい走り感を残しつつ、叩いていけるシャフトに仕上がった。また、先端の剛性を適度に高めているので、ヘッドの走りを無駄なくボール初速に変換できる
[TSUTSU's EYE!] 最軽量30グラム台のモデルに注目
女子プロに人気の『スピーダー』シリーズ。最新の『エボ6』には30グラム台の超軽量モデルもラインナップしているから驚きだ。「軽さはヘッドスピードを高めるために重要な要素のひとつ。シャフトの走り感と合わせて、スピードを極限まで高めてくれますので、かなり飛距離アップの期待大です」(筒)
【POINT】 高慣性モーメントのヘッドを生かす設計
筒 「剛性分布を調べても極端な設計は減りましたね。多くのゴルファーが安心して振り切れるシャフトが多くなっています」
村田 「昔は走るシャフトで飛距離アップという考えもあったけど、今は変わったようです」
筒 「最新のヘッドは直進性が高いので、走るシャフトより、安定してミートできるモデルの方が相性がいいですよね!」