開幕前にタイガーが語った、勝利への自信
マスターズ開幕を控える記者会見で、タイガー・ウッズはそう口にした。
「このコース(オーガスタナショナルGC)では、どのようなゴルフをするべきなのか。頭の中にそれが分かるライブラリーがある」
とにこやかにその自信を語っていた。
しかし、この発言が大きく取り上げられることはなかった。群雄割拠する現代のゴルフ界で、43歳のタイガーがすんなりと勝てるとは思われなかったのだ。優勝候補の筆頭には、今年、出場したすべての試合でベスト10に入り、生涯グランドスラム達成にこれ以上もなく充実したローリー・マキロイがいた。他にも好調な有力選手が数多くいるなか、タイガーはそれほど良い成績を残せてはいなかった。
しかし、その数ヶ月前、昨年9月の「ツアー選手権」開幕前にも、タイガーは勝利の予感を口にしている。
「(会場の)イーストレイクGCは、自分に向いている。優勝できると思う」
とタイガーは近しい仲間たちに語ったのだという。そして、ツアーで30人しか出場できない最終戦で、実際に優勝を勝ち取ってみせた。
遡ること2ヶ月前、タイガーは「WGCメキシコ選手権」の記者会見で、マスターズに向けて、10〜11月から準備を始めているとコメントしている。マスターズを戦う上で「必要となるショット、使用するクラブ、今まで良かったスイング、よくなかった点」などを整理して、半年近くも前からマスターズの対策を練っていたというのだ。
その準備の手応えが、開幕前の「勝てると思う」という言葉だった。今となっては不明を恥じる思いだが、メディアはタイガーの言葉の重さにもっと気づくべきだった。タイガーの胸中にみなぎる自信とその勝算を、十分に感じ取ることが出来てはいなかったように思う。