ALBA Net  ゴルフ
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英国人でも、ジャスティン・ローズのマスターズ制覇に期待してしまう理由

いよいよゴルフの祭典・マスターズが今週開幕します。年に一度のお祭りとなれば、マニアックチームは、勝者予想を議論せざるを得ません。だって、ゴルファーなので!

配信日時:2019年4月10日 13時18分

P編 「FWキープ率もパーオン率も下がってるぞ?」

飛距離は不変ですが、FWキープ率とパーオン率が……

飛距離は不変ですが、FWキープ率とパーオン率が……

P編 「でもさ、このスタッツを見る限りでは、去年よりFWキープ率もパーオン率も5%くらい下がっているよ? やっぱり、20年もテーラーメイドと契約してきたのに、クラブをホンマにガラッと替えたのはちょっとリスクだった可能性があるんじゃないか?」

筆者 「なるほど。そう見る人も多いかもしれません…。村田さん、それ、ファイナルアンサー?」

筒 「村田さん、ちょっと待って。細かいスタッツを見てみるので。!!! うわぁ〜〜、なるほど……。村田さん、単純なパーオン率には現れない、各距離からどれくらいに寄るか?の順位なんですけど、軒並み去年よりも上がってますよ! 特に50〜75ヤードが顕著ですが、200ヤード以内も軒並みどのくらい寄るかの円が縮まってますね。これ、どう考えてもホンマ『TW-W』ウェッジと『TW747 ROSE PROTO』アイアンがプラスに働いてるでしょ!」
黄色がよくなった部分。青が悪くなった部分。FWもラフからも、寄る円が縮まってます!

黄色がよくなった部分。青が悪くなった部分。FWもラフからも、寄る円が縮まってます!

筆者 「(したり顔で)ほらね、村田さん。単純な数字に騙されちゃいけませんよ? ちゃんと内訳を見ないとね〜」

P編 「ぐぬぬ………。まぁ、元々世界ランク1位なわけだし、当然じゃないの? ホンマから『ROSE PROTO』アイアンが市販化されるといっても、ローズの好みに合うように作られたプロトタイプを使ってきたわけだろう? 結果が出て当然じゃないか!

筆者 「村田さん、それ言うなら、去年ローズが使ってたテーラーメイドのアイアンも『P730 ROSE PROTO』ですから!(チラッ)」

P編 「ぐっ……。(目が泳いでいる)」

筒 「世界一なのに、スピンコントロールが成長するとは…」

いつも同じリズム、同じ力感。反動も少なく、強振するシーンをほとんど見ません…

いつも同じリズム、同じ力感。反動も少なく、強振するシーンをほとんど見ません…

筒 「長岡さん、真面目に話したいので聞いて! このデータを見ていて確信したのは、元々スイングのフレームが出来上がっている世界一のローズ選手が、【さらに細かいスピンコントロールを手に入れた】ということです。スイングのフレーム力が高いから、それが可能になったとも言えると思いますが…」

筆者 「(ハッとして)フレーム? どういうことです?」

筒 「ローズ選手のスイングって、無理がないというか、行き切る部分というか、反動を使わないように見えますよね? トップもコンパクトで、もっと捻れるし、もっとスピーディーにも振れるはずなのに、しっかり収まっていて、強振するシーンもほとんどない。安定性の塊みたいに見えないですか?

筆者 「そうですね、確かに…」

筒 「形としてのフレームも安定している上に、スピードやタイミングといった時間的なフレームも安定しているように見える。これって、下半身と上半身の動きがシンクロしているというか、無理な捻転差から無理に作り出すパワーではないので、打点や入射角の安定性はもちろん、方向性も安定しやすいんです。元々そういうストロングポイントのある選手が、ホンマとの契約後、さらにその先のスピンコントロールまで手に入れた可能性を感じますね…

P編 「スイングの話は私には分からないなぁ…」

筆者 「あ、その話で言うと、ホンマの菱沼副社長がローズに初めて試打させた時に【100rpm単位で各番手のスピン量の多い少ないを細かく注文してきて驚いた。世界一の先を見据えるプロは、そこまで細部にまでこだわるのか】と言ってました。そんなスピン量なんて、普通のプロなら誤差の範囲で、打点や入射角がわずかでもズレたら普通に出る範囲の誤差レベルなのに、ローズは初対面から全番手で100rpmの誤差さえ許さず、さらに突き詰めて解決の要求をしてきたと…」
初めてホンマを試打した時から100rpm単位で各番手のスピン量の要求…(こ、細かけぇ〜)

初めてホンマを試打した時から100rpm単位で各番手のスピン量の要求…(こ、細かけぇ〜)

P編 「まぁ、世界一だから当然じゃないの?」

筒 「!!!(なんというスピンコントロールへのこだわり…、世界一なのにこの向上心…) やっぱり………。去年世界一に上り詰めて、ここまで完成された選手が、さらにこんなに精度UPするなんて普通なら考えられないんですよ。アイアンもウェッジも良くなってますが、ポイントはタテ距離が合い出すと、プロはヨコも揃うということ。スピンコントロールに自信があれば、もう自在に球を操れるはず…。

一番凄いと思うのは、それを20年間連れ添ったテーラーメイドじゃなく、ホンマに契約を変えることで、【スピンコントロールを含めたさらなる進化が出来る】とローズ自身が見越していたことですよ…。ホンマの酒田工場の対応力を見越して、さらに進化出来ると踏んだ。そして、その狙い通りの結果を手にした。

世界一のその先を目指す上で、クラブの性能分析がどれだけ大事か? ということです…。今年に入って出場試合が少ないのもマスターズに照準を合わせている証拠ですし、全米プロが5月に移動したので、メジャーが毎月開催される。メジャー全部を勝つために、ホンマと契約したとしか思えません…。20年一緒に歩んで世界一になったテーラーメイドを離れる決断なんて、簡単にできませんよ、普通…」

P編 「でも、マスターズは飛ばし屋有利じゃないの?」

ローズとマキロイは、永遠のライバル…。マキロイやDJの派手な飛ばしが炸裂するか!?

ローズとマキロイは、永遠のライバル…。マキロイやDJの派手な飛ばしが炸裂するか!?

P編 「う〜〜ん………、でも、マスターズは飛ばし屋有利なんだろう? スピンコントロールが上手くても、マキロイやDJのような飛ばし屋にガンガンやられたら厳しいと思うけどね。パトロンが熱狂して、地味で冷静なタイプより、ド派手なプレーで乗っていける選手の方が強そうにも思うし…

筆者 「おっ、珍しくいい指摘!」

P編 「………。(ムカッ)」

筒 「村田さん、2017年のセルヒオ・ガルシア選手の最終日のパット時の手の震えとか、去年のパトリック・リードの最終日のドライバーの合わせ打ちとかを見て何も感じませんか? 世界のトッププロにとって自分の普段のスイングが無意識に変わる、崩れる、それほどまでに勝ちたい舞台なんですよ。飛ぶことは大事ですけど、無理な飛ばしなんて球が曲がる原因になるので最悪です。

ローズ選手の凄さは、安定性の塊のような余裕あるスイングでこの平均303.5ヤード(30位)という飛距離を出せること。振ればもっと飛ぶのに、それをやらない忍耐力、自己管理力が本当の強さでしょう。自分がやるべき事に徹する業務完遂型であり、穏やかな英国紳士というか、人格者で全てに成熟して見えます。スイング、プレースタイル、クラブ選びと全ての分析力に優れた超クレバーな選手だと感じますね」
心臓手術で離脱していた10年来の“相棒”がグリーンジャケットを着せるために復帰!2人の堅い絆を感じますね…

心臓手術で離脱していた10年来の“相棒”がグリーンジャケットを着せるために復帰!2人の堅い絆を感じますね…

筆者 「そうそう。ローズは優しい性格がにじみ出てますよね。今大会には、10年以上連れ添ったキャディのマーク・ファルチャーの心臓手術からの復帰をすごく喜んでますし。1月中旬に手術したばかりなのに、アップダウンの激しいオーガスタとは…。何が何でもローズにグリーンジャケットを着せたい! とこの舞台に間に合わせたそう…。泣けますね」

P編 「なるほど……、分かった。穏やかで成熟したクレバーな選手というなら、日本人としては応援したくなるね…。それに、細部にこだわって改善する日本人に近い気質を彼は持っているのかもしれない。英国人だけど、応援する! そんな世界一の選手が日本のホンマを選んでくれたのも嬉しいし!」

筆者 「え〜〜〜。ちょっと……、その変節というか、変わり身の早さ、日本の悪い政治家の見本みたいな感じですよ?」

P編 「うるさい! 優秀な日本人は、良いと分かれば昨日の敵でも認めるんだよ!」

筒 「………。(子供の喧嘩か! ローズ選手を見習って、大人になってくださいよ……)」

Text/Mikiro Nagaoka

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