旧モデルを使用する、松山英樹の飛距離
「ZR30」は、420ccと小ぶりで操作性が高く、それでいて左にひっかけにくく、ボールが吹けあがりにくいのも特徴だ。パワーとショット力を兼ね備えた松山がいかにも好みそうな特性だが、発売後、すでに8年が経過し、現在では残念ながら飛ぶクラブとは言いがたい。
ここぞという時に、豪快なショットで狭いフェアウェイをキープするドライバーは、松山の武器のひとつになっている。飛距離と正確性の目安になるトータルドライビングの成績は、現在ツアーで38位だ。しかし、世界ランキングで上位に連なる選手と比較すると、正確性はともかくも、飛距離の面で遅れを取っている感は否めない。
ジェイソン・デイやローリー・マキロイは、ボールもクラブも毎年のように変更し、パフォーマンスの向上につなげている。マキロイは今季、ボールを変更し、4番アイアンで数ヤードの飛距離増につなげたという。もちろん、1ヤード単位で争うトッププロの世界だけに、飛距離が伸びるのもリスクに繋がるはずだが、彼らは変化を怖れずに最新ギアを投入し、その恩恵を成績に結びつけている。
個人的に言えば、野武士然とした松山の求道者風のスタイルを考えた時、安易にギアに頼ってほしくないという想いがする。いつまでも「ZR30」を使うのも松山らしいと思える。しかし、変わらない事が、トップ選手とのさらなる差を生むこともあり得る。
今後、世界ランキングでトップクラスの選手と戦うには、ショートゲームと並んで、ドライバーの飛距離アップは課題になるだろう。それには、松山のパワーを余すところなく発揮できるギア選びがカギになる。近未来において、飛距離を伸ばした松山が、デイやマキロイをオーバードライブしたら、さぞかし痛快だろうと思う。
