『ST-X 220』投入から2⇒5⇒3⇒2⇒12⇒6⇒優勝!
勝因に挙げたのは、オフのアプローチ強化。優勝会見で『今大会4日間、クラブセッティングで役に立ったクラブは?』という質問に「アプローチのミスもありましたが、以前に比べて全体的にカバーできていた。プロになってから54度を入れて下を厚くしてやってきました。今回、特にそれが生きてくれた」と西郷。
確かに18番の切り立ったガードバンカーから冷静にアプローチ勝負を選んだ選択も、その後のアプローチも見事だったが、ことクラブに関しては、「昨年10月の『ST-X 220』ドライバー変更から、ずっといい流れが来ていた」と見るのは筆者だけだろうか。
【西郷真央の優勝セッティング】
1W:ミズノ ST-X 220(10.5°VENTUS BLUE 5S 45.5インチ)
3,5W:ピン G425 MAX(VENTUS BLUE 6S)
4,5U:ピン G425 MAX(VENTUS HB 7S)
6I〜PW:ミズノ JPX 921 FORGED(N.S.PRO 850GH S)
50,54,58度:Mizuno Pro S18(N.S.PRO 950GH S)
PT:オデッセイ WHITE HOT OG ROSSIE
BALL:ブリヂストン TOUR B XS
『ST-X 220』を投入してからのスタッツは?
【2020−21の平均/『ST-X 220』の7戦】
●平均飛距離――246.33y/249.59y(+3.26y)
●FWキープ――72.77%/76.70%(+3.93%)
ちなみに、明らかにドライバー以外で放ったショットと見られるデータを除外すると、18回の計測で、平均飛距離は255ヤード。計測のなかった「ダイキンオーキッドレディス」でも長距離を見せていたが、『ST-X 220』を操る西郷の飛距離はツアーでもかなりの上位と言えるだろうか。
昨季、ドライバーの上手さの指標「トータルドライビング」で1位、アイアンも含めたショットの上手さの指標「ボールストライキング」でも1位だった西郷。ストレートに近い球筋で誰よりドライバーが上手いだけに、ヘッド性能が上がるほど、誰より数値向上に直結するはずだ。
『ST-X 220』は、何が良くなった?
「高初速×低スピンのSTシリーズの、さらに安定性が向上しました。カーボンの総面積を前作から約40%拡大。その余剰重量をバックウエイトに付与することでスイートエリアの拡大を達成。高初速×低スピンに加えて、高い安定性を追求しました」(同社広報)
端的に言えば、【カーボンでボディ部を軽量化し、重いウェイトをヘッド後方に配置すれば、ヘッド左右MOIは向上する】という図式である。ただ、高MOIヘッドが苦手な人も世の中には多い。特に、プロゴルファーの場合、ヘッドを意のままに操作でき、重いヘッドやバランス重めより、バランス軽めを好む選手が昔から多いもの。
「スクエアストライク」デザインで二律背反を解消!
「ST-X 220、ST-Z 220では慣性モーメントを大きく(スイートエリアを大きく)して打点のブレによる飛距離ロスを軽減しながらも、重心距離をやや短めに設定しています。二律背反する【スイートエリアの拡大】と【ヘッドの返しやすさ】を両立させることで、ヘッドとボールが正面衝突しやすくなり、つかまりの良さを追求しました」(同)
実際に、西郷だけでなく契約プロのほぼ全員が重心距離が短めでつかまる『ST-X 220』の方を選んでおり、振りやすさ・扱いやすさと共に、高まったMOIの恩恵を余すことなく受けられる状態を作っていた。高初速が出せる【βチタン】を生かすも殺すも、スクエアインパクトしだい。高MOIクラブでフェースが開きがちの人は、このクラブで“西郷化”する!?
Text/Mikiro Nagaoka