トゥ・ヒールの“前”にウェイトが分散!
コロナ禍で統合された今季も56%近い使用率で、相変わらずNo.1の座を継続し、今季最多の16勝を稼ぐオデッセイ。が、そのほとんどがインサートパター。ノンインサートの削り出し『トゥーロン』がどう変わったのか? 男子プロたちも興味津々だ。
⇒今季の最多勝パター、女子ツアーと男子ツアーでどう違うのか?
まずは、見た目に激変したのがウェイト位置。ソールの真ん中にあったウェイトプレートがなくなり、シンプルなダイヤモンド形状の中のトゥーロンロゴのみに。そして、タングステンウェイトがトゥとヒールに分散され、かなりフェース寄りに位置している。ツアー担当の中島氏は変わった点をこう話す。
言葉通り、ミスヒット時のブレに強くなった点を真っ先に感じ取ったのが、重永亜斗夢。中島氏が彼のフィードバックを明かす。
「初代のトゥーロンは芯が狭くて難しかった。芯に当たる、当たらないで出球や距離感の差が大きかったけど、これは芯を外れても芯を喰っている感覚があって距離感も出る。初代と全然感覚が違うから『本当にトゥーロン?』と思ったくらい。芯の広さはインサートパターと変わらない。オデッセイのやさしさはちゃんと取り入れられていますね」(重永亜斗夢)
独自のミーリングが増えた効果は?
前作のダイヤモンドカットは、格子状の中に一つひとつの横棒が入っていたが、今作は全ての線が繋がっており、よりボールとの接点が小さく見える。「ホワイト・ホット」インサートのウレタンのソフトフィーリングに慣れている男子プロたちも、この新ミーリングの打感は硬く感じないそう。
また、長年、ノンインサートの削り出しパターの『スコッティ・キャメロン』を使う藤田寛之も、練習グリーンで新『トゥーロン』をテスト。「フィーリングのキャメロン、テクノロジーのオデッセイという印象です。打感はキャメロンよりやわらかく感じます。手元の安定性があるから、ストロークに不安がある人にはいいかもしれない」と、中島氏に話していた。
ブレードユーザーが増える女子ツアーは?
今季メジャー1勝を含む4勝を誇る西村は、現在使うヘッドと同じツノ型の『ラスベガス』をテスト。「前作のトゥーロンよりもやさしい。出球が強すぎないので、緩まずに打てる」とツアー担当の本杉氏に感想を伝えていた。
フェース面、ミーリング(溝)の削り方が凹凸になっていることで、ボールとの接触面が少なく、それが打感の軟らかさにつながっているなどの説明を受けると、手に残る感触の裏付けに納得したようで「そうなんだ〜!知らなかった」と笑顔。ウェイトの調整を進め、さらにテストを重ねる様子だ。
女子プロも同じで、「打感が柔らかい」
本杉氏は「前重心でヘッドのブレがなくボールを押してくれる。それが両端にあるから、ミスヒットでもヘッドがブレづらい。前作よりも複雑に加工されたミーリングの削り方」と、前作との違いを説明。河本はミスヒットを想定し、わざとトゥ側、ヒール側で打ってみた結果「ミスに強い」と、違いを実感していた。
ちなみにキャロウェイのツアー担当・桜井氏に集まったプロから聞かれた声で、一番多かったのが「打感がやわらかい」だったという。すでにペ・ヒギョン、李知姫の韓国勢は、今週からの投入を決めているようで、さらに調整が進めば多くの選手へと拡大することも予想されるとか。
新『トゥーロン』の投入は計7種類
いずれも、ネックのTOULONロゴがタテからヨコ書きになり、削り出しパターらしく、面も角もバキッとシャープな仕上がり。ソールのデザインもシンプルかつ、色調の異なるブラックのツートンカラーと、昔の『ブラックシリーズix』を思い出すシックな仕上がり。これまでのややブラウンがかった「ツアーチョコレート仕上げ」とはまた違うオーラを放つ。
はたして、これらは発売間近ということか。スコッティ・キャメロンのマレット型『ファントムX』が男子ツアーで勢いを増す中、“くっつく”柔らか打感の新『トゥーロン』で、オデッセイがノンインサートパターカテゴリもシェアを取れるのか、続報が届き次第お伝えする。