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高校2年生の後藤あいにアマVの特典はなし プロテスト規定の“摩訶不思議”【現地記者コラム】

16歳のアマチュア・後藤あいが史上7人目のアマチュア優勝を飾った。だが、その“特典”はなし…の摩訶不思議。

所属 ライター
臼杵孝志 / Takashi Usuki

配信日時:2025年10月11日 12時00分

せっかく手にした“JLPGAトーナメント”での優勝。ただ来年プロテスト受験を控える後藤あいに、その恩恵はないのが現状だ。
せっかく手にした“JLPGAトーナメント”での優勝。ただ来年プロテスト受験を控える後藤あいに、その恩恵はないのが現状だ。 (撮影:福田文平)

10日まで開催されていたステップ・アップ・ツアー「SkyレディスABC杯」(兵庫・ABCゴルフ倶楽部)では、16歳の後藤あい(兵庫・松蔭高2年)がステップ史上7人目のアマチュア優勝を達成した。レギュラーツアーの優勝ならば、日本女子プロゴルフ協会(JLPGA)が定めた当該年度の期間内に入会申請を提出し、理事会で承認されれば、JLPGA会員=プロとなって国内ツアーに出場できる。いわゆるプロテスト免除で、最近では兵庫・滝川二高を卒業し、2019年の「富士通レディース」で優勝してプロになった古江彩佳らがいる。

【写真】頭の位置がすごい! 後藤あいのぶっ飛びスイング

ステップの場合はプロテストの1次、2次が免除され、最終から出場できることになっている。JLPGAのプロテスト規定にはこうある。「前年度の最終プロテストの第1日目の属する週の月曜日から、当該年度の最終プロテストの第1日目の属する週の前週日曜日までに本戦が開催されたステップ・アップ・ツアー各競技の優勝者」。つまり、ステップVで得た権利を行使できる期間は1年しかない。

今回の後藤でいえば11月4日からJFE瀬戸内海GCで行われる今年の最終プロテストだけ。これも、すでに2次は終了しており、2次までに失敗していた場合のみ救われる“特典”だ。そもそも、プロテストを受験できる年齢は当該年度の4月1日時点で満17歳以上だから、来年の11月に17歳になる高校2年生の後藤は受験できない。権利は消失し、プロテストイヤーは、またゼロからのスタートとなる。

ルールはルールである。そこは仕方ない。ただ、これが、日本女子アマ、日本ジュニア(15~17歳の部)、日本女子学生の各優勝者と日本女子オープンのローアマになると事情は変わってくる。「過去3年間及び当該年度の最終プロテストの第1日目の4週間前の日の属する週の日曜日までに開催された…」となり、行使できるのは一度だけだが、3年の猶予が与えられるのだ。

これはいかがなものか。日本女子女子アマ、日本ジュニア、日本女子学生、日本女子オープンはいずれも日本ゴルフ協会(JGA)の主催で、ステップ・アップ・ツアーはすべてJLPGAが主催している。他団体の大会の優勝者らに3年有効の特典が付与され、自分たちの大会の優勝者はなし。ステップ優勝はプロを相手につかんだ栄誉だというのに…。

後藤は規定の詳細を知らなかった。もちろん特典を目当てに頑張ったわけでもない。ただ、昨年4月の「大王海運レディス」を制し、最終から臨んだプロテストに合格した都玲華のことは覚えていた。優勝時、都は20歳。規定の内容を説明されると、「そうなんですね」と、ちょっぴりいぶかしそうだった。

ステップ優勝のアマチュアを落胆させるこの格差に論理的な理由はあるのか。「1年」なら「1年」に、「3年」なら「3年」に統一する必要はないのか。個人的には、格差をつけるのであれば、ステップ3年、その他1年でもいいんじゃないか、とも思っているのだが…。(文・臼杵孝志)

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