復活したタイガーが軽く振っているように見える理由とは?
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若い頃に比べると猛々しさが削られて、効率的に力を出そうとしているのが伝わってくるスイングです。今は急激な力のかけ方をしていません。足の踏み込み動作だったり、切り返しで手首に力はかかっていますが、それがとても穏やか。思いっ切り打ってタイミングが合わないリスクを取るよりは、足とクラブにタイミングよく力をかけることを優先しています。それがあまり力を入れずに軽く振っているように見える大きな理由です。
フォローで“右肩”を早く起こし、体への負担を軽減
強振すると自動的にクラブの遠心力がかかって肩はタテにまわってしまうもの。でも、ある程度の年齢を過ぎて、タテ方向の回転動作をやり過ぎると、体の体勢に無理が出て怪我のリスクが高くなるのです。今のほうが右肩の起き上がりを早くしている理由は、左ヒザや体全体への負担を減らすためでしょうね。だから昔のような猛々しさはや若々しさは感じられない。そういう意味でタイガーも“おじさん化”してきました。
切り返しの沈み込みと手首の角度は昔と変わらない
クラブやボールの進化、バイオメカニクス(スポーツ力学)の進歩は目覚ましく、今の最先端機器があれば地面からの力の大きさも測定できる。思いっ切り強振しなくても、インパクトで力をかけるタイミングが合えば、44歳のおじさんでも飛距離は伸ばせるのです。コンディション次第で、まだメジャーに勝つ可能性はあると思います。
1973年生まれ。神奈川県出身。1997年からツアープロコーチとしてのキャリアをスタート。中嶋常幸、佐藤信人、米山剛などのコーチを務めた。現在は成田美寿々や穴井詩らを指導している。東京大学ゴルフ部監督としての顔も持つ。