<マスターズ 3日日◇10日◇オーガスタ・ナショナルGC(ジョージア州)◇7565ヤード・パー72>
ジャック・ニクラス(1965、66年)、ニック・ファルド(1989、90年)、タイガー・ウッズ(2001、02年)以来、史上4人目の連覇を狙うローリー・マキロイ(北アイルランド)。2位に6打差をつけて3日目をスタートしたが「73」と一歩後退。トータル11アンダーでキャメロン・ヤング(米国)に並ばれた。過去2度の出場経験があり、中継するTBSの解説をことしから務める藤田寛之が戦況を見つめる。
「マキロイも通常のプロゴルファーと同じ感覚があるんだなと思いました」。大会の公式記者会見で初日の1番ティでは手が震える話しや、愛娘と過ごす時間はゴルフのことを考えなくていいという話しを聞いた。「マキロイでもプレー中はプレッシャーを感じているんです」。藤田自身、30年経っても1番ティでは手が震えている。舞台は違えど、マキロイも同じ感覚なんだと共感した。
2位に6打のリードをつけてスタートした。前半はパープレーで折り返し、10番パー4でバーディを奪う。気がつくと後続の足音が聞こえてきた。11番ではダブルボギー、12番ではボギーと思うようにスコアを伸ばせなかった。
「連覇を考えるなっていう方が無理だと思います。それだけ重いタイトルですから」。随所にスーパーショットも見せたが、予選2日間のようなゴルフとは違った。短いパットを外したり、ドローを打とうとするとつかまりすぎたり…。「普通に考えると大量リードがゴルフを難しくしたと思います。最終日は変にリードを保っているより、並んで迎えて、『また頑張ろう』って切り替えた方がラクに臨めると思います」。連覇に向けての試練の1日となったが、偉業に向けて首位タイになったことはよかったかもしれない。
マキロイに並んだのはことしの「ザ・プレイヤーズ選手権」を制した、世界ランキング3位のキャメロン・ヤング(米国)。この日はマスターズ自己ベストの「65」をマークしてトータル11アンダーまで伸ばした。
ヤングは藤田が開幕前から推す選手である。「飛距離が出るし、ドローボールを打つのでオーガスタにはあっています。プレイヤーズ勝って調子もいい」。大きなタイトルを獲得したが、メジャー未勝利がひっかかる。「首位タイからのスタートになりますが、1打でもリードした途端に、どういうゴルフになるんだろうかと思っています」。誰もが欲しいタイトルがチラついたときの心模様が気になる。普段通りのゴルフができるのか、もしくは重圧にできなくなるのか。
マキロイが伸び悩んだことで状況は分からなくなった。「(4打差の)7アンダーのスコッティ・シェフラーはチャンスですね。5、6アンダー(の選手も)もなくはないでしょう」。3年間世界ランキング1位を守り、大会2勝と相性のいいシェフラー。この日「65」で一気に優勝戦線に浮上した。
首位と1打差のサム・バーンズ(米国)、2打差のシェーン・ローリー(アイルランド)、3打差のジャスティン・ローズ(イングランド)、ジェイソン・デイ(豪州)と「オモシロい位置にオモシロい選手がいる」と、メジャー覇者や相性のいい選手にも注目する。
初日はグリーンが硬く速く、もっとも難しかった。「2日目、3日目とバーディの出る回数が増えています。風も穏やかでグリーンコンディションも変化しているのでしょう。最終日もバーディが出る流れになると思います」。首位の選手が伸ばしきればそのまま逃げられる。足踏みするようなら後続が追いついていくことになる。
パトロンを沸かせるバーディがたくさん出そうだが、一つのカギはフロントナインか。「前半の9ホールで“自分だよ”と表現できる人がいいですよね。後半は…分からないでしょうね。そこがマスターズのオモシロいところです」。ことしのマスターズも予測不可能な面白いゲーム展開になりそうだ。
■解説・藤田寛之
ふじた・ひろゆき/1969年6月16日生まれ、福岡県出身。92年プロ転向。国内ツアー通算18勝。2012年に43歳で賞金王を戴冠。マスターズは11年、13年の2度出場経験がある。24年の「全米シニアオープン」2位を足掛かりに、昨年は米シニアのPGAツアー・チャンピオンズにフル参戦。葛城GC所属
