最終日のバック9で先を行くヘンリーを眺めたときは「僕が勝つチャンスはないと思った」。プレーオフ1ホール目で1.2メートルのバーディパットを待つスコットを眺めたときは「アダムが外すはずはない。僕が勝つチャンスはないと思った」。
これまでに米ツアー通算3勝を挙げてきたキスナーだが、プレーオフは5戦全敗した過去があり、この日は彼の勝利の可能性を限りなく小さくするものばかりが目立っていたが、どんなに可能性が小さく低くても「最後まで諦めず、自分を信じた」。
ネバーギブアップ。信じる者は救われる。「それが、ゴルフ」なのだとすれば、ゴルフはとても素敵だ。
奥が深く、謎めいているからこそ、人々はゴルフを続けるのだろう。そして、いつか必ず何かの形で報われることを信じているからこそ、人々はゴルフを愛するのだろう。
プレーオフで敗北した5人の選手たちが、みな次々にキスナーを祝福したすがすがしい場面が、無情な出来事を目の当たりにしたショックを、やんわりと和らげてくれた。
文/舩越園子(ゴルフジャーナリスト)
