開幕前、トーリーパインズの難しさは「7652ヤードの長い距離だ」、「狭いフェアウエイだ」、「深いラフだ」、いやいや「硬いグリーンだ」と取り沙汰されていた。だが、サンデーアフタヌーンに選手たちが一番翻弄されたのは、つかまりやすい位置に置かれたバンカーだった。
バンカーは英語では「サンド・トラップ」。直訳すれば「砂のワナ」だ。その名の通り、トーリーパインズのサンド・トラップは勝利を目指す選手たちの足をすくうワナだった。
バンカーにつかまったからと言って、それが敗北を意味するものでは決してない。バンカーは、あくまでもワナであり、選手を乱れさせよう、狂わせようと嫌らしい誘いをかけてくる悪魔の誘惑にすぎないはずなのだ。
そう、バンカーにつかまったことが、そのまま敗因になるわけではなく、バンカーにつかまったことをどう捉え、どう対応するか次第で、多くの選手はワナにまんまとはまり、敗北への道を進むことになった。
だが、「たとえ何が起ころうともポジティブに捉える」と心に決めて実践していたジョン・ラーム(スペイン)は、大詰めの17番ではフェアウエイバンカーからピン5メートルに付け、スネイクラインを沈めてバーディ獲得。18番はグリーン右のバンカーからピン方向ではなく出せる方向へきっちり出し、5メートルを沈めてバーディフィニッシュ。