2週間前の「メモリアル・トーナメント」では6打差の単独首位で3日目を終えた直後、PCR検査で陽性判定が出たことが告げられ、即座の棄権と10日間の隔離を余儀なくされた。全米オープン出場も危ぶまれたが、それでもラームは前向きな姿勢を取り続けた。
「コロナは現実だ。幸いにして家族はみな無事で、僕も陽性とはいえ無症状だったことに感謝した。そうやって人生では何だって起こるのだから、ゴルフでも何だって起こりうると信じ、自分を信じて前を向いてきた」
そんなラームのポジティブな姿勢は、どんなバンカーがどこにあろうとも、もはや意味をなさなかった。
「僕はトーリーパインズを愛している。トーリーパインズは僕を愛している」
なるほど。コースに打ち克つとは、こういうことを言うのだろう。全米オープン史上初のスペイン人チャンピオンは、圧巻の勝ち方を披露してくれた。
文/舩越園子(ゴルフジャーナリスト)