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英語で聞かれても日本語で返す? 兼本貴司2度目の渡米、英語で話しかけられたときの対応が秀逸

兼本貴司と現地ハウスキャディとの会話がなんだか不思議。

所属 ALBA Net編集部
高桑 均 / Hitoshi Takakuwa

配信日時:2023年6月29日 11時16分

<全米シニアオープン 事前情報◇28日◇セントリーワールド(米ウィスコンシン州)◇7218ヤード・パー71>

「右はオッケーです」。キャディが選手にかける言葉としてはよく聞くセリフ。「右のバンカーでもOKやね」。選手がキャディに返す言葉も至って普通だが、これが英語と日本語のミックスとなると、なかなかお目にかかれない。

今週は全米ゴルフ協会(USGA)主催の「全米シニアオープン」が開催される。コースは米保険会社のセントリーインシュランスが本拠を置く町に造られた本格チャンピオンコース。前述の会話は、日本勢3人のうちの1人、52歳の兼本貴司とハウスキャディの会話だ。

左ドッグレッグのパー5のティで、セカンド地点を指さしながら話す二人。同コースで勤めているという米国人ハウスキャディの英語に対し、兼本は日本語で返答するのがお決まりだ。なぜか日本語が分からないキャディもうなずく。ゴルフにおいては、言葉の壁は必要なしといったところ。米ツアーのパワープレーヤーにも負けない豪快な飛距離の兼本のティショットが、まさにその“OK”の右バンカーに入った。

先月テキサス州で行われた「全米プロシニアゴルフ選手権」にも出場した兼本は、昨年の時点で今大会の出場権も獲得していた。昨年の国内シニアツアー賞金ランキング上位4人までの枠で出場する(同3位)。全米プロシニアに続いて、帯同する通訳などいない。「相づちを打って、早く会話を終わらせるのがコツ(笑)」と、異国の地でのコミュニケーションは明るさで乗り切る。

「(制限速度の)70マイルでひたすら右車線を走ります」とハンドルも自分で握る。全米プロシニア以来、人生2度目の米国生活もすっかり慣れた様子だ。「若い頃に来ていれば違ったかもしれないけど、国内のシード権で精一杯だったから」と、50歳を過ぎて初めて感じたのは、米ツアーの“楽しさ”。大会前日の水曜日は深堀圭一郎、藤田寛之と18ホールの練習ラウンドを行い、ハウスキャディもうなるような豪打を連発し、笑顔が絶えない。

初渡米は予選落ちを喫したが、今週のコースはUSGAらしい、ハードなセッティングが特徴。世界一過酷な戦いとも呼ばれる「全米オープン」のシニア版だ。そんな戦いを前にしても、難題に直面したときの気持ちの高揚を抑えきれない。“先輩”の深堀、藤田と会話をしながら深いラフにてこずりながら、それでも楽しそうにゴルフをする姿。臆することなく挑む米2戦目で、さらに米国が好きになるかもしれない。(文・高桑均)

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