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宮里藍が取り組み続けてきたジュニア育成の“哲学” 「マイナス思考」の高校生が実感した意識改革

「宮里藍インビテーショナル Supported by SUNTORY」が終了。宮里藍がジュニア育成について語った。

所属 ALBA Net編集部
間宮 輝憲 / Terunori Mamiya

配信日時:2025年9月29日 12時30分

元気な姿を見せた宮里藍がジュニア育成について語った。
元気な姿を見せた宮里藍がジュニア育成について語った。 (撮影:ALBA)

<宮里藍インビテーショナル Supported by SUNTORY 最終日◇28日◇サンヒルズカントリークラブ EASTコース(栃木県)◇6229ヤード・パー72>

27、28日に行われた自身の名前が冠につくジュニア大会を終え、宮里藍は安堵の表情を浮かべた。「ホッとしました。いろいろあったけど、みなさんの協力のおかげで完走できました」。体調不良により、開幕前日、そして大会初日は会場に足を運ぶことができなかったが、リモートでレッスン会に参加。そして回復した最終日には、ようやく元気なジュニア選手たちのプレーを、その目で見ることができた。

【写真】優勝者と笑顔を見せる宮里藍

第6回となった今年は、中学1年から高校2年生までの女子選手34人が出場。そのうちトータル5アンダーで競技を終えた信藤希(のぶとう・のぞみ/福井工大附属福井高2年)が優勝した。三重県津市出身ながら、福井県にある高校に通うため、今は親元を離れ寮生活をしながらゴルフに打ち込んでいる16歳は、昨年に続く2度目の出場で優勝をつかみとった。

もともと「マイナス思考」だというが、それを払拭するため今回は優勝することを周囲に公言。「心のどこかで難しいとは思っていたけど、声に出して宣言することで前向きになれました」と、ネガティブな自分にも打ち勝った、まさに有言実行の勝利。そのためにも大きかったのが、宮里から伝えられたメンタル・トレーニングメソッド『Vision54』で、宮里自身も現役時代から学んでいるこの方法論を、レッスン会で現役選手たちに教えるのも大会の特色になっている。

今年のテーマは、これまでに質問として多く受けてきた『気持ちの切り替え術』。プレー中、またはプレーを終えた後の心の持ちようが開幕前日、そして初日のラウンド後に伝えられた。首位と5打差からスタートし逆転勝利をおさめた信藤は、初日に開始5ホールで4オーバーまで沈む苦しい立ち上がり。だたレッスンを生かし、「悪いイメージではなく、いいイメージを持ち続けた」と、気持ちを切り替えて優勝をつかんだ。

宮里は、そんな話を聞くと「なにより選手のみなさんが個別に『勉強になりました』と声をかけてくれるのが一番の励みになります」と言い、笑顔を浮かべる。信藤が「脳から変えたのが効いた」と表現するメソッドを認識する選手たちも、こういった取り組みを通じ、徐々に増えている。「今すぐではなく、ゴルフを続けるなか、どこかで役に立つ知識として持っていてくれれば」(宮里)。それだけに、この大会のスタイル、そして哲学は今後も貫いていく。

2017年にツアーの第一線から退いた宮里は、「(参加する選手は)絶対に(宮里の)現役時代をリアルタイムで見ている世代ではない。よく一緒に写真とか撮ってくれるなーという感覚で見てます」と笑いながら、冗談交じりに話す。信藤は参加選手のなか最高学年となる高校2年生だが、それでも生まれたのは2008年。実際、優勝後には“宮里藍”という存在について、「プレーする姿は見たことがない」とも話していた。

とはいえ、もちろんその存在の大きさは知っている。そして「いつもニコニコしていて、そこにいるだけでみんなが明るくなる方。“こうなりたい”と思える選手がすぐ横にいて、直々に教えてもらえるから説得力がある」と、その影響力を肌で感じることもできた。16歳の夢は「世界で活躍し、みんなに愛されるプロゴルファーになりたい」。日米通算24勝を挙げ、かつて世界1位にも輝いている人物は、そのロールモデルとしても最適といえる。

今大会の上位5人は、来年の「宮里藍 サントリーレディスオープン」の主催者推薦選考会出場権を得た。そして優勝した信藤には、宮里とのエキシビションラウンド権も与えられる。「練習しないと!」と、ここからのモチベーションにもなる“副賞”だ。なにより宮里にとっても、「選手によって、事前にいくつも質問を用意してきたり、18ホールを楽しく回ることが目的など、毎年違う。信藤さんはどうなるのかすごく楽しみ」と胸躍る時間になる。

現在のアマチュア選手について宮里は、「自分を確立してこの大会に来ている選手が多い印象」と話す。来年以降も大会の継続に意欲的。「今、迷っていることを整理できるだけでも、この年代は大きく変わると思っている。ゴルフ界もどんどん変わっていくので、私も現状を把握しながら、流れにそってVision54も落とし込んでいければ」。未来のゴルフ界に、豊かな人材を送りこむための手助けは続いていく。(文・間宮輝憲)

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