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メジャー、そしてハワイで鮮烈なV争い 好調な春先から一転…苦闘の初夏へ【渋野日向子のルーキーイヤー振り返り】

悲喜こもごものルーキーシーズンを送った渋野日向子。酸いも甘いも味わった2022年を振り返る。

配信日時:2023年2月16日 16時00分

海外メジャーで優勝争いを演じた渋野日向子 偉業達成を予感させる戦いぶりだった(写真は2022年シェブロン選手権)
海外メジャーで優勝争いを演じた渋野日向子 偉業達成を予感させる戦いぶりだった(写真は2022年シェブロン選手権) (撮影:GettyImages)

来週23日に開幕する「ホンダLPGAタイランド」で米国女子ツアー2年目のシーズンがスタートする渋野日向子。ルーキーイヤーだった昨年は、メジャー大会での優勝争い、初シード獲得など大きな成果を手にした一方、終盤に差し掛かるにつれ調子を落とし苦しい時間も過ごした。渋野自身「スタートダッシュがよかっただけに、後半の失速で気持ちがだんだん下がっていってしまった」と語っている2022年、その前半戦を振り返る。

昨年3月。渋野は米本格参戦後の“デビュー戦”を戦うためシンガポールにいた。「HCBC女子世界選手権」開幕前の会場では、「念願のアメリカツアーの第1戦目。1年間通して戦えるのが楽しみ」と笑顔も弾ける。21年末のQシリーズ(米予選会)を20位で通過しツアーメンバー入り。そして、このアジアシリーズ初戦こそ47位という結果に終わったが、続く「ホンダLPGAタイランド」は8位となり晴天のなかの船出といえた。「自信になります」。明るい表情で、こう前を見据え航海は始まった。

ただこの2試合は予選落ちもなく、推薦出場だった渋野は規定によりシードなどに関わるCMEポイントを獲得することはできず。3月末からの米本土戦、ここからが本格的な勝負の始まりといえた。そしてすぐに偉業達成の予感を漂わせることに。3月31日から4月3日に行われたメジャー初戦「シェブロン選手権」がその舞台になった。

風が強くなった午後組で出た初日、1つのイーグルを含む「69」をマークし3アンダーの10位発進。「すごくいいゴルフでした」と、思わず白い歯もこぼれる。さらに「66」をマークした2日目には単独首位に浮上。「マネジメントも馬鹿なりなんとかやって(笑)。ラフからも腕力で出して(笑)」。こんなシブコ節も並んだ。しかし3日目は2つのダブルボギーなど「77」で失速。最終日に大会2度目となる「66」を出し息を吹き返したが、3日目のロスは重く4位で大会を終えた。ただ確実に、2つ目のメジャータイトル獲得への期待感が高まった。

“弾みをつける”とは、こういうことを言うのだろうか。ハワイに渡り迎えた続く「ロッテ選手権」でも、主役のひとりになった。現地特有ともいえる強風のなかで、飛んで曲がらないドライバーショットは圧巻の仕上がり。「悪くないから振れているし、やりきれば真っすぐ飛ぶというのが分かっとる」と、トータル83.9%のフェアウェイキープ率をマークした。

さらにパー5の2打目で果敢にドライバーを握る“直ドラ戦術”も披露し、それも話題に。3打差の2位で迎えた最終日は、最終組でキム・ヒョージュ(韓国)と実質一騎打ちともいえる優勝争いを繰り広げた。終盤には1打差まで迫っていたが、最後はライバルのスーパーアプローチもあり2打差の2位で終戦。とはいえ早々にシード獲得に当確ランプを灯すことには成功し、大きな意味を持つ試合になった。

この頃は、“優勝”への気運が高まっていた時期。その時がいつ訪れるのか? こんな雰囲気も漂っていた。しかし続くロサンゼルスでの連戦から「縦距離」に狂いが生じはじめ、首をかしげるシーンも目立つようになる。

「DIOインプラントLAオープン」では決勝ラウンドにこそ進出したものの63位。さらに続く「パロス・ベルデス選手権」はシーズン初の予選落ちを喫した。連戦による疲れに加え、西海岸特有のポアナ芝によりパッティングも狂わされた。「頭と心の整理をして切り替えて」。こう話した渋野は日本に戻り、この後に国内ツアーの「ブリヂストンレディス」に臨んだ。

ただ母国に帰っても調子は上向きの軌道を描くことはなかった。多くのギャラリーの前でも、なかなか思うようなショットが打てずここも予選落ち。決勝進出を逃した2日目のラウンド後、渋野は「出直し!」と言って会見場を後にし、夕暮れ間際まで練習場でドライバーを振り続けた。悪い流れを払拭するかのような強振。明らかにショットの修正が急務だった。

6月の「全米女子オープン」をトータル8オーバーで予選落ちするなど、それ以降の5試合で最終日まで戦ったのは3日間大会の「ショップライトLPGAクラシック」のみ。メジャー大会の「KPMG全米女子プロゴルフ選手権」では、体調不良により第3ラウンド開始前に日米通じ自身初めてとなる途中棄権という決断もくだした。7月に入っても調子は戻らず、「エビアン・チャンピオンシップ」予選落ちなど結果が残せない。そんな春先の勢いを失った状態のなか迎えたのが、8月の「AIG女子オープン」、すなわち渋野が歴代女王に名を連ねる全英女子だった。

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