<ソニー 日本女子プロゴルフ選手権 初日◇10日◇片山津ゴルフ倶楽部 白山コース(石川県)◇6755ヤード・パー72>
女子プロゴルファー日本一決定戦には、昨年から設けられている出場資格がある。それが“今季のステップ・アップツアー優勝者”。つまり下部ツアーの優勝者に、メジャーで戦う切符が与えられる。今年は今大会前までに行われた「ヤンマー・ハナサカ・レディース」から「山陰ご縁むす美レディース」までの12試合の優勝者11人が、この資格で出場している(福田萌維は今季レギュラーツアー優勝者に該当)。
そして今季のステップ初戦になった4月のヤンマー・ハナサカを制した24歳の大須賀望が、この機会を大きなチャンスにつなげようとしている。プロ4年目にして初めて踏む選手権の芝の上で、首位と5打差の2アンダー・8位タイにつけた。この一日については「前半はティショットがラフに行ったけど、ちょっと浮いてたりしてくれて、普通にUTやアイアンで打てたり、ラッキーでした」と振り返る。
今季開幕時のQTランクは148位。7月のレギュラーツアー「資生堂・JAL レディス」で8位に入り、第1回リランキングで出場優先順位を75位まで上げたが、主戦場は下部ツアーだ。ステップでは11試合に出場し、1勝含むトップ10入り6度。賞金ランクは946万3135円で、2位の吉本ここねと36万8283円差ながら1位につけている。
シーズン終了後のステップ賞金ランク1、2位の選手には、来年のレギュラーツアー前半戦出場権が与えられるため、今はそれに照準を絞っている。「中途半端なことはせず、賞金が高い大会もあるので、後半戦はステップに集中してランキング1位を目指したい」。ただ、自力でつかんだこのメジャーも「優勝で新しいチャレンジもできて、来年レギュラーツアーに行くためにも、素晴らしい試合で試せるのはうれしい経験ですね」と、決して無駄にはしない。
刺激になる存在も、会場にいる。米ツアー組のひとりとして出場する同学年の山下美夢有だ。高校の全国大会で初めて一緒に回り、アマチュア時代から仲良し。かつて、お世話になっている中嶋常幸のもと、山下と3人で合宿するなど親交を深めてきた。そして身長146センチの大須賀にとっては、身長150センチながら昨年の「AIG女子オープン」(全英)を制するなど、世界トップクラスの選手になった山下は「励みになる」存在でもある。
「身長もあまり変わらないのに、海外で4勝もしている。美夢有もできるなら、自分もできる。この体格でも勝てると思わせてもらえます」。初日のラウンド前には、これまでと何も変わらない笑顔で挨拶を交わした。「美夢有から声をかけてくれて、うれしくて。『世界チャンピオンに声かけられた!』みたいな」。そう言って笑ったが、「性格が変わらずうれしい」と、ひさびさの再会に胸も躍る。
2024年から師事する山形嘉彦コーチの指導のもと、現在スイングも改造中。そのなかで結果がついてきていることも自信になっている。「明日もイーブン以下で回って、ちゃんと予選を通過して、週末に行けるように」。山下も1アンダーの13位と、まずまずのスタートを切った。このまま2人で伸ばして、決勝ラウンドを同組でプレーした時には、2人の明るい笑い声も響きそう。そして“下部ツアーからの挑戦者”が、どこまで上位を脅かすかも楽しみだ。(文・間宮輝憲)
