<台湾ホンハイレディース 初日◇12日◇ザ・オリエントゴルフ&カントリークラブ(台湾)◇6720ヤード・パー72>
国内女子ツアーの今季第2戦は、48年ぶりの開催となる台湾が舞台になる。そのコースは、試合前の選手に話を聞くと「大きな優勝スコアにはならない」、「アンダーパーを出すのが難しい」、「パープレーならばんばんざい」などの言葉が並ぶ超難関だ。その難しさを青木瀬令奈のコーチ兼キャディを務める大西翔太氏に解説してもらった。
すると最初に出てきたのは、「今年のツアーで一番、優勝スコアが出ない大会になるでしょう」という“予告”。予想はやはり「イーブンパーくらいか、オーバーパーもあり得る」というものだった。そして、まず選手を苦しめる要素として傾斜の強いグリーンを挙げる。
大西氏は日本ツアーとの共催になる以前から同じコースを使用し開催されていた昨年、一昨年の大会に参加している。その際に見た光景は、“ショッキング”だった。
「1メートルから4パットする選手も実際に見ました。1メートルのバーディチャンスからボギー、ダブルボギー…ということが普通に起こります。ピンも難しい場所に切られることが多く、30センチのところから外し、傾斜を転がりグリーン外に出るというケースもありましたね。映像で観戦してる方たちにとっては、『これを外すの?』と思ってしまうシーンが目に飛び込んでくるはずです」
さらに6720ヤードと元々長いコースに吹き荒れることが予想される風も、その難度を大きく上げる。例えば423ヤードに設定された14番パー4は、アゲンストの風が吹くとパーオンすることさえ困難に…というよりも絶望的になると言っていいほどだ。
「月曜日の練習日に、穴井詩選手が(1打目)ドライバー、(2打目)3番ウッドでナイスショットを打って(グリーンに)乗りませんでした。これは誰も乗せることができないということです。割り切ってパー5だと思ったほうがいいです」
昨季日本ツアー女王の佐久間朱莉は、開幕前日の14番でのプレーについて「(セカンド残りが)エッジまで205ヤード。スプーン(3W)で打って、(グリーンから)10ヤードくらい手前でした」と明かす。さらに16番パー3も208ヤードと長めの設定で、ティショットは3Wを使用。より強い風が吹いた時は「スプーンで30ヤード手前に落として、そこからアプローチを打つ」という戦略をイメージしているほどだ。グリーンが止まりやすいことは感じているが、長い番手で傾斜の強いグリーンを狙う機会が目立つはず。
大西氏は、「一足早くメジャーがやってきた」とその難しさを表現。そして、ここで必要な心持ちを力説する。
「耐えて、耐えて、耐えしのぶ。気持ちが切れるとボギーが止まらなくなります。ゴルフは“心の格闘技”だと思いますが、まさにその言葉がぴったりな試合になります。耐えて、耐えて、耐えて、右フックを放つ。その先に勝利への糸口が見つかるはずです。ボギーが来ても平然として、バーディが来てもよろこばない。感情の起伏は命取りになります。自分の感情と向き合って、自分のパフォーマンスだけを追い求める。気を緩めると、そこからボギーが続いても何も不思議ではありません」
グリーン周りにはティフトンが生い茂り、ここも多くの選手が警戒ポイントとして挙げる。18ホールのなかで、一息入れるポイントは極端に少ない。「選手たちの五感が試される試合ですね。見どころは多いと思います」。選手たちが悩み、考え抜く姿を多く見る4日日になりそうだ。
解説・大西翔太(おおにし・しょうた)/1992年6月20日生まれ。名門・水城高校ゴルフ部出身。2015年より青木瀬令奈のキャディ兼コーチを務める。16年にはキャディを務める傍らPGAティーチングプロ会員の資格を取得した。ゴルフをメジャースポーツにと日夜情熱を燃やしている。21年には澁澤莉絵留ともコーチ契約を結んだ。プロゴルファーの大西葵は実の妹。YouTube『大西翔太GOLF TV』も好評で、著書『軽く振ってきれいに飛ばす!! 飛距離アップの正解』が発売中。
