ツアー通算13勝の女子プロゴルファー・稲見萌寧が、20日、千葉県内で自身初となるジュニア向けイベント『日本生命 稲見萌寧選手 スナッグゴルフキッズレッスン』を開催した。2020年からスポンサー契約を結ぶ日本生命との取り組みで、公募によって集まった首都圏の小学生37人が参加。スナッグゴルフ教室やトークショーなど、約2時間の楽しい一時を過ごした。
21年には東京五輪で銀メダルも獲得した、20-21シーズンの国内ツアー女王は、元気な子どもたちとの触れ合いに終始、笑顔。「楽しませられるか不安だったけど、みんなエネルギッシュでした。小さい子たちに教えたりすると、自分が大人になった気分ですね」と、充実感も覚える時間になった。「子どもたちが飽きないように」ということを目指し、レッスンだけでなく、的当てゲームや、トーク、抽選会など趣向も凝らした。
スナッグゴルフは、「きょうが初めてで、朝20分くらい練習しました」という稲見だったが、そこはさすが日本を代表するプロのひとり。デモンストレーションでは、鋭い打球を連発して会場を沸かせた。子どもたちからのリクエストに応え、高低の打球を打ち分けたり、ボールを曲げたり。その都度、プロの技に拍手が起こる。「(ゴルフ)未経験の子たちにやってもらうことで、ゴルフの楽しさや、みんなで楽しめるスポーツということを広めたい」という想いは、しっかりと伝わったはずだ。
前日には、大人を対象にした競技イベント『稲見萌寧カップ』を開催。これは今年が4回目と、競技普及にも力を入れてきた。ちなみに、同カップの予選会には8500人が参加し、本戦に進めるのはわずか92人と、レベル、規模ともに成長を続けている。
今回、ジュニア向けイベントを行ったのは、先輩プロの影響も大きい。「上田桃子さんは、子ども優先でサインをしていて、私も並んだことがある。子どもを大事にするのはいいなって思ったし、桃子さんの背中を見て育って、私もそうしたかった」。ツアー通算17勝(日米共催大会含む)を誇る上田は、24年シーズンを持ってツアーの第一線を退いた。だが、そのタスキは、脈々と引き継がれる。
トークショーでは『好きな果物はなんですか?』『休日は何をしていますか?』『子どもの頃にやっておけば良かったと思うことはなんですか?』など、純真無垢な質問にも、ひとつひとつ丁寧に回答。さらには銀メダルも持って来て、実際に子どもたちは触れることもできた。「あのメダルひとつで、あれだけ喜んでくれて良かった」。子どもたちにとっては、まさに夢のような体験になったはずだ。
来年以降も継続開催したい気持ちは強い。なにより、稲見にとっても元気をもらえるイベントになったはず。ここからは来季へ向けたオフが本格的にスタートする。五輪メダル獲得で手にした5年シードを行使中ではあるが、今年はメルセデス・ランキング85位と苦しい一年を過ごした。それでも終盤5試合中3試合でトップ10入りと、調子を上げており、それが来季への手応えにもつながる。「練習とトレーニングをしっかりして、来年は1勝できるように」。きょう集まった子どもたちに、強い稲見萌寧の姿を見せていくつもりだ。(文・間宮輝憲)
